何で混乱したか、を最初に書いておく
私は Anthropic の Claude Max 5x プランで Cowork を中心に作業している。元々は Antigravity 経由で ChatGPT を触っていたので、OpenAI 側のコーディングエージェントの最近の動きにも一応うっすら興味はある。
ところがある日、SNS で「Codex のアプリ版で computer use が来た」「Codex CLI でサブエージェントが動いた」「Cowork と Codex は思想が似てる」みたいな話が同時に流れてきて、頭の中が 「Cowork / Claude Code / Codex(アプリ版)/ Codex」の4つの名前で渋滞した。「Co」が3つ、「Codex」が2回、初心者には早口言葉だ。
最初は「4つの呼び名で混乱した」という整理を書こうとしたが、調べていくうちに、実態は4つではなく「アプリ / CLI / IDE 拡張」の3形態 × 「Anthropic / OpenAI」の2社 = 6つの窓口だと分かった。「Codex」というブランドが傘になっていて、その下に App・CLI・IDE 拡張という具体的な窓口が並んでいる。一方で Anthropic 側も Claude Code は CLI と VS Code 拡張という2つの窓口を持っている。並べる粒度を「窓口」に揃えると、両陣営が綺麗に対称になる。
そこで本記事は、2×3マトリクスでこの関係を整理する。私が触れた経験があるのは Cowork と Claude Code(CLI・IDE 拡張ともに)だけで、Codex 系3つは公式ドキュメントを読んだ範囲の話に限定する。
2×3 マトリクス(提供形態 × 提供元)
最初に全体図。横が提供元、縦が提供形態。「自分はどこで AI に作業してほしいか」で読み下せば、1セルに辿り着けるようにしてある。
| Anthropic | OpenAI | |
|---|---|---|
| GUI デスクトップアプリ系 | Cowork(Claude デスクトップアプリの作業モード) | Codex(アプリ版)(macOS / Windows のデスクトップアプリ) |
| ターミナル CLI 系 | Claude Code CLI(claude コマンド) | Codex CLI(codex コマンド・OSS) |
| IDE 拡張系 | Claude Code VS Code 拡張(公式) | Codex IDE 拡張(VS Code / Cursor / Windsurf 等) |
読み方のコツ:同じ行のセル同士は「狙っている使い方が近い」。同じ列のセル同士は「同じ会社が提供する別フロントエンド」。Anthropic 側の CLI と IDE 拡張は同じ Claude Code エンジンの2窓口で、OpenAI 側の Codex CLI と Codex IDE 拡張も同じ Codex エンジンの2窓口だ(公式ドキュメントでも「IDE 拡張は CLI と同じエージェント・同じ設定を共有」と明記されている)。
詳細比較表(観点 × 6製品)
縦軸を観点、横軸を6製品にして並べる。情報量は多いが、後の解説が読みやすくなるように先に置く。
| 観点 | Cowork | Claude Code CLI | Claude Code VS Code 拡張 | Codex(アプリ版) | Codex CLI | Codex IDE 拡張 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 提供元 | Anthropic | Anthropic | Anthropic | OpenAI | OpenAI | OpenAI |
| 起動入口 | デスクトップアプリ | ターミナル | VS Code サイドバー | デスクトップアプリ | ターミナル | VS Code / Cursor / Windsurf 等 |
| 動作環境 | macOS / Windows | macOS / Linux / Windows | VS Code が動く環境 | macOS(2026-02-02〜)/Windows(2026-03-04〜) | macOS / Linux / Windows | macOS / Linux(Windows は実験的) |
| 主な対象ユーザー | 知識労働全般(非エンジニア含む) | 開発者 | 開発者(ターミナル不慣れも可) | 開発者中心、最近は知識労働へ拡張 | 開発者 | 開発者 |
| 必要なプラン | Pro / Max / Team / Enterprise(全有料プランで一般提供) | Pro / Max | Pro / Max | ChatGPT Plus / Pro / Business / Enterprise / Edu | 同上(OSS なので API キーでも可) | 同上 |
| computer use | Pro / Max で利用可 | 対象外 | 対象外 | 2026-04-16 アップデートで搭載 | 対象外 | 対象外 |
| 配布形態 | クローズドソース | クローズドソース | VS Code Marketplace | クローズドソース | OSS(Rust 製) | VS Code Marketplace 等 |
補足:Cowork は Pro / Max が 2026-01-16、Team / Enterprise が 2026-01-23 にそれぞれ research preview で開始され、その後すべての有料プランで一般提供(GA)に移行している。Codex(アプリ版)の Windows 版は 2026-03-04 から Microsoft Store 経由で配布されている。
行ごとの解説(同じ提供形態の2社並び)
GUI デスクトップアプリ系:Cowork / Codex(アプリ版)
Cowork(Anthropic)は Claude デスクトップアプリの中で動く作業モード。指定したフォルダの中身を読み・書き・作り、Claude がローカル PC で複数ステップのタスクを最後まで仕上げる。コーディングに限らず、リサーチ・資料作成・ファイル整理など知識労働全般が想定されている。Pro / Max / Team / Enterprise の全有料プランで一般提供されており、Pro / Max では画面操作(computer use)も渡せる。
Codex(アプリ版)(OpenAI)は macOS は 2026-02-02、Windows は 2026-03-04 から提供されているデスクトップアプリ。「複数のエージェントを並列管理するコックピット」という位置づけで、コードを書く窓口というよりはエージェント運用の母艦に近い。2026-04-16 のアップデートで computer use・画像生成・メモリ・90 種以上のプラグインが乗った。
比較:両方とも GUI で、computer use を持ち、知識労働方向への拡張が起きている点が似ている。一方で Cowork は「1人の Claude に作業を任せる」一体感、Codex(アプリ版)は「複数エージェントを並列に走らせるダッシュボード」というメンタルモデルで、同じ GUI でも操作感はけっこう違うように公式ドキュメントからは読める。
ターミナル CLI 系:Claude Code CLI / Codex CLI
Claude Code CLI(Anthropic)は claude コマンドで起動するターミナル UI。現在のディレクトリを読み込み、コードの編集・実行・git 操作などを自然言語で頼める。Pro / Max プランの利用枠が Claude(ウェブ)と共有される。
Codex CLI(OpenAI)は codex コマンドで起動する Rust 製・OSS のターミナル UI。GitHub openai/codex で公開されている。ChatGPT Plus 以上のサブスクで認証する以外に、API キーで認証することもできる。
比較:両方ともターミナルでコードを書きたい開発者向け。Codex CLI が OSS、Claude Code CLI がクローズドソースという配布の違いは、トラブル時の追跡やカスタム改造の余地という点で性質が違う。プラン要件はどちらも「自社のサブスクに含まれる」形で、追加課金なしで使える。
IDE 拡張系:Claude Code VS Code 拡張 / Codex IDE 拡張
Claude Code VS Code 拡張(Anthropic)は VS Code の Marketplace で配布されている公式拡張。サイドバーで Claude を呼び出して使え、内部に CLI が同梱されているため、ターミナル不慣れでも GUI の感覚で Claude Code を扱える。公式ドキュメントは「VS Code を使うなら拡張が推奨」というスタンス。
Codex IDE 拡張(OpenAI)は VS Code・Cursor・Windsurf など VS Code 系エディタ向けの拡張。CLI と同じエージェント・同じ設定を共有することが明記されている。macOS / Linux で正式対応、Windows は実験的扱い、と公式ドキュメントに書かれている。
比較:両方とも「同じエンジンの IDE 内フロントエンド」という位置づけ。Anthropic 側は VS Code 一本、OpenAI 側は Cursor・Windsurf も含む VS Code 系エディタを広めにカバーしている。IDE 派ならそれぞれの拡張を入れるのが定番という点では性質が一致している。
列ごとの解説(同じ会社の3窓口は何が共通か)
Anthropic 側(Cowork / Claude Code CLI / Claude Code VS Code 拡張)
3つは Pro / Max プラン1本に含まれる。Cowork とウェブ Claude と Claude Code は使用量枠が共有されているので、私のように Cowork で重い処理を回した日は CLI 側にも影響が出る、というのは Pro / Max ユーザーが知っておきたい挙動だ。
3つの分け方は 「フォルダ単位の作業 = Cowork」「リポジトリ単位のコード作業 = Claude Code(CLI / IDE 拡張)」 という方向性で読める。Cowork は知識労働全般、Claude Code はコーディング寄り、というのが Anthropic 側の役割分担。
OpenAI 側(Codex App / Codex CLI / Codex IDE 拡張)
3つは 同じ ChatGPT アカウントで連携する。CLI で始めた会話を IDE で続けたり、ローカルから Cloud にタスクを投げて結果を IDE に戻したり、という横断利用が前提になっている。「Codex」はこの3つを束ねるブランド名で、傘の下に具体的な窓口が並んでいる構造。
ChatGPT Plus / Pro / Business / Enterprise / Edu の各サブスクに Codex 全体が含まれているため、ChatGPT を持っている人は追加契約なしで全窓口に触れる。Codex CLI だけは OSS なので、API キー単独でも導入できるという余地もある。
どれが何のとき役立つか
私は6つ全部を実利用しているわけではないので、ここは 公式の説明によれば という前置きで書く。実体験があるのは Cowork と Claude Code(CLI / IDE 拡張)だけ。
Cowork(実体験あり)
PC のなかにあるファイルを使って、ChatGPT のチャットでは閉じない仕事をやり切ってほしいとき。私の場合、ブログのドラフト整形、Excel の差分比較、フォルダの整理などを頼んでいる。指示を出して別の作業をして戻ると成果物ができている、という非同期の動き方が好みなら相性がいい。
Claude Code CLI(実体験あり)
ターミナルから直接コードに触りたいとき。git の操作・テストの実行・リポジトリ全体を把握しての修正などをやらせたいとき。Pro / Max プランがあれば追加課金なしで使えるので、開発初心者の私も「とりあえずインストールして触る」ハードルが低かった。
Claude Code VS Code 拡張(実体験あり)
ターミナルが苦手な人、または VS Code をすでに常用している人向け。サイドバーに Claude を呼び出せるので、ファイルを開きながら自然に対話できる。私は CLI と拡張の両方を試したが、コードの選択範囲を渡せるのは拡張側の便利さで、ちょっとした修正なら拡張のほうが手数が少ない。
Codex(アプリ版)(公式情報のみ)
複数のエージェントを並列で走らせたい、PC 上で computer use にも触らせたい、画像生成とコード生成を一画面でやりたい、あたりが公式が押し出しているユースケース。Cowork と射程が重なる方向に動いている。私はまだ実機で動かしていないので、ここは公式説明をそのまま信じている段階。
Codex CLI(公式情報のみ)
ChatGPT のサブスクを既に持っている人で、ターミナルから OpenAI のエージェントを呼びたい場合。OSS なので導入だけならハードルは低く、API キー認証もある。私のように現在 Anthropic 側に寄せている人間でも、Codex CLI 単体だけ試してみる、という軽い検証が成立しやすい。
Codex IDE 拡張(公式情報のみ)
VS Code・Cursor・Windsurf を常用している開発者向け。CLI と同じエンジン・同じ設定を共有するので、CLI と拡張の併用も自然に成立する、と公式に書かれている。
6つを使い分ける視点(誤発注しないために)
料金体系の違いはざっくり「Anthropic 側は Claude Pro / Max のサブスクに Cowork も Claude Code も(CLI も拡張も)含まれる」「OpenAI 側は ChatGPT Plus 以上のサブスクに Codex 3兄弟が含まれる」という構造になっている。追加で Codex を契約しないと触れない、という構造ではない点が、両陣営に共通する誤発注ポイントだと思う。
誤期待の整理として、「Cowork と Codex(アプリ版)は computer use があるから同じ」と早合点しないこと。同じ概念の機能でも、PC 上のどのアプリに対して、どの程度の権限で動くかは細部が違う。私のように非エンジニアで computer use に「自動化の最後の一歩」を期待する側からすると、まず公式ドキュメントの権限・制限事項を読んでから手を出したほうが事故が少ない。料理人にとっての包丁選びと同じで、見た目で似ていても刃の角度で別物だ。
両方使うのもアリ:Anthropic と OpenAI の両方を契約する人は実在するが、私の Max 1 プラン前提では普段づかいは片方に寄せるのが現実的。Anthropic 側で困ったときの逃げ道として Codex CLI(OSS)に少し触っておく、くらいの距離感が私にはちょうどいい。
生産的なプロンプト例(6つすべてに応用できる粒度で)
両陣営に共通して効く「初心者の指示の出し方」を1つだけ載せておく。架空の家計簿アプリ開発を想定した指示で、Cowork でも Claude Code(CLI / IDE 拡張)でも Codex 3兄弟でも、考え方は流用できる。
このフォルダの "expenses_2026.csv" を読み込んで、以下を順にやってください。
1. 月別の支出合計を集計し、Markdown の表にまとめる
2. 前月比 +20% を超えたカテゴリには ⚠ を付ける
3. 結果を summary_2026-04.md として同じフォルダに保存する
4. 集計に使ったコードは scripts/aggregate.py に分離して保存する
5. 最後に「次にやるとよさそうな分析」を3件、箇条書きで提案する
ポイントは、ゴールを1個ではなく工程に分けて並べるところ。エージェント系は1ターンで複数ステップをこなすのが得意なので、「読み込み→集計→印付け→保存→分離→提案」のように動詞を並べると、人間とのやりとり回数が減って結果的に時短になる。料理に例えるなら「カレーを作って」より「玉ねぎを切って、炒めて、肉を入れて、煮込んで、皿に盛って」のほうが鍋のフタを開ける回数が減る、という話。
まとめ
6つを最後に1行ずつでまとめておく。
- Cowork:Anthropic、GUI、知識労働全般
- Claude Code CLI:Anthropic、ターミナル、コーディング
- Claude Code VS Code 拡張:Anthropic、IDE、コーディング(GUI 派にも)
- Codex(アプリ版):OpenAI、GUI、複数エージェント運用
- Codex CLI:OpenAI、ターミナル、OSS
- Codex IDE 拡張:OpenAI、IDE、CLI と同エンジン
混同を避けるコツは、「アプリ / CLI / IDE 拡張」という3つの提供形態軸を最初に立てること。同じ会社の窓口は内部的に近い親戚で、同じ提供形態どうしは別会社でも狙いが似ている。Anthropic と OpenAI を「2社 × 3形態 = 6窓口」のマトリクスとして眺めると、自分の使い方がどのセルに刺さるかが見えてくる。
開発経験ゼロの私から見ても、両陣営とも「1本のサブスクで使える窓口を増やす」方向に動いているのは間違いなさそうで、しばらくはどちらに寄せても困らない時代に入っている。私はまず Cowork と Claude Code を使い倒すのが先になるけれど、地図だけは整えておくと、いざ片足踏み出すときに迷子にならない。整理整頓は事前にやるに限る。「備えあれば憂いなし」とはよく言ったもので、こういう地図づくりこそが開発経験ゼロの人間にとっての杖になる気がしている。
参照した一次情報
- Cowork: Claude Code power for knowledge work | Anthropic
- Claude Cowork | Anthropic
- Get started with Claude Cowork | Claude Help Center
- Use Claude Cowork on Team and Enterprise plans | Claude Help Center
- Claude Code overview | Claude Docs
- Use Claude Code in VS Code | Claude Code Docs
- Using Claude Code with your Pro or Max plan | Claude Help Center
- Codex | OpenAI Developers
- Codex CLI | OpenAI Developers
- Codex IDE extension | OpenAI Developers
- Codex App | OpenAI Developers
- Introducing the Codex app | OpenAI
- Codex for (almost) everything | OpenAI
- Using Codex with your ChatGPT plan | OpenAI Help Center

コメントを残す