タグ: 用語解説

  • Chat / Cowork / Code、それぞれ「新しく作る」タイミング ー 1つに全部詰めて、Claude を混乱させてた

    Chat / Cowork / Code、それぞれ「新しく作る」タイミング ー 1つに全部詰めて、Claude を混乱させてた

    カテゴリ: Cowork特有 公開日: 2026-04-30

    このブログについて: 開発経験ゼロの私(セルシー)が Claude を毎日1つ試して記録する学習ブログ「zeroCC」です。


    「同じセッションで全部やったら、Claude が話題を見失った」

    ある日、ひとつの Cowork セッションで「英文メールの和訳 → Excel の整理 → 架空のスクリプトの修正」と立て続けに頼んでみた。詰め込みすぎたお弁当箱みたいなセッションです。
    3つ目に入ったあたりで、Claude が「先ほどのメールの件についてですが…」と、もう関係ない最初の話題を引っぱり出してきた。「先ほどの……って何ですか(こちらは Excel の話をしている)」。

    最初は「Claude が壊れたのかな」と思った。違いました。Claude は壊れてなくて、私が1つの場所に荷物を詰めすぎただけだった。要するに、引っ越し前日の段ボール状態です。何が入っているか、自分でも把握できていない。

    Cowork のサイドバーには「Chat」「Cowork(New task / セッション)」「Code」という3つの入口があり、それぞれ何を覚えているか(コンテキスト)が違う。新しい話を始めるたびに「これは続きにすべきか、新しく作るべきか」を判断するクセを付けてから、誤動作がぐっと減った。「クセを付けた」と書きましたが、実態は「やらかした回数だけ学んだ」です。


    なぜ「新しく作る」を意識するのか

    Claude は会話を続けるほど、その会話の中身を覚えていく。便利なんだけど、過去の話題が混ざると判断がブレる。便利の裏には、たいていトレードオフがいる。
    たとえば「Excel ファイル A」を読み込ませた直後に「画像を生成して」と頼むと、Claude は「Excel に貼る用の画像かな?」と勝手に推測してしまうことがある。気を利かせてくれているんですが、こっちは普通に SNS のアイコンを作りたかっただけです。私はこれを「コンテキストの引きずり」と呼んでいる(命名するほどには遭遇している)。

    加えて、長い会話はトークン(Claude が一度に扱える文章量の単位)を食う。動作も重くなるし、料金もかさむ。お腹いっぱいの Claude は、判断もちょっと鈍る——そんな気がしている。話題が変わったら新規にする、というのは「自分のためでもあり、Claude のためでもある」操作になっている。たぶん Claude も、毎回まっさらな机で仕事を始めたいはず。


    3種類 × 新規作成すべきタイミング

    ここで一旦整理。「だから何を、いつ新しくすればいいの?」という話を表にしました。

    種類主な使い道コンテキストの中身新しく作るべきタイミング
    Chat質問・即答・短文生成そのチャット内の会話履歴(必要に応じてチャット検索やメモリも参照される)。ファイル操作や MCP 連携は行わない話題が変わったら、迷わず新規。コストが軽いので「1質問1チャット」でも問題ない
    Cowork セッションファイル操作・MCP 連携・複数ステップ作業読んだファイル・実行したツール・出した結論対象プロジェクトやフォルダが変わるとき。失敗から始め直したいとき。長くなりすぎたとき
    Code セッションリポジトリ(=コードを置いてあるプロジェクトのフォルダ)単位のコーディングCLAUDE.md・git の状態・開いているリポジトリリポジトリを切り替えるとき。ブランチ運用で文脈が大きく変わるとき

    💡 補足: Cowork セッションは作業を後で続けられる設計。同じテーマの追加作業なら新規にせず、続きから頼む方が記憶を再利用できて速い。「昨日の私の続き」を今日の Claude が拾ってくれる感じで、地味にうれしい。
    一方で別テーマを始めるときは、続きにせず新規にした方が安全。引き継がせると、たまに昨日の経費の話が顔を出してくる。


    判断フロー(私の3問チェック)

    迷ったら、上から順にチェックする。本当はもっと迷うべきなんですが、3問にしないと自分が動けないので3問にしました。


    1. 「直前の会話と同じテーマ?」
      YES → 続行。NO → 新規。
      翻訳の続きで翻訳を頼むなら続行、Excel の話を始めるなら新規。境目はけっこうハッキリしているので、迷ったら2問目へ。



    2. 「Claude が前提にしているファイル状態は、まだそのまま?」
      YES → 続行。NO → 新規。
      Excel の構造を大きく変えた、フォルダの中身を入れ替えた、などの後は新規にする。「さっきのファイル覚えてる?」と聞いた時点で、もう新規が正解だったりする。



    3. 「セッションが長くなりすぎて、自分でも何が話されたか追えない?」
      YES → 新規 or /compact で要約。NO → 続行。
      /compact は履歴を圧縮するスラッシュコマンド。完全リセットせずに重さだけ落とせる。要するに会話のダイエット機能です(例えが合っているかは別として)。



    同じ作業、続けるか・新規か

    例:朝、Excel に経費を整理してもらった。午後、別の作業として「ブログ記事の下書きを書いてほしい」と頼みたい。完全に午前と午後で別人格になりたい日です。

    そのまま続けるとどうなるか:

    午前のセッションで…
    私: Documents/領収書/202603/ の JPG を OCR して
    expenses.xlsx に追記して。
    Claude: 12枚処理しました。3枚は要確認です。
    午後、同じセッションで…
    私: ブログ記事の下書きを書いて。テーマはコンテキスト管理。
    Claude: かしこまりました。経費レポートを踏まえつつ、
    コンテキスト管理についての記事を…
    (← 関係ない経費を引っぱってきた)

    経費の話題が引きずられて、関係ない場所に出てくる。記事に「3枚は要確認です」とか出てきても困る。

    新規にすると:

    午後、新しいセッションで…
    私: ブログ記事の下書きを書いて。テーマはコンテキスト管理。
    Claude: 何文字くらいで考えていますか?想定読者は?
    (← まっさらな状態でヒアリングが始まる)

    「初対面の Claude さん、こんにちは」状態。これがいちばん仕事が早い。
    判断のクセが付くまでは「Claude が変な前提で答えてきた瞬間に、新規にし直す」を続けると、リズムをつかみやすい。最初は新規にし直しすぎて、逆に毎回ゼロから説明する事故も起きました。バランスです、何事も。


    つまずき

    ここからは、私が実際にやらかした話です。先輩の失敗談を聞くつもりで読んでください(先輩というには日が浅いですが)。

    • Code セッションで雑談を始めてしまう: Code セッションはリポジトリのコードを前提に話を聞く設計なので、関係ない雑談を続けると「このコードを直そうとしてる?」と勝手に解釈し始めることがある。雑談は Chat 側に逃がすのが安全です。Code セッションでお昼ごはんの相談をしてはいけない(やった)。
    • Cowork セッションを使い捨てにしてしまう: 1つで完結するつもりで始めたのに、後から続きが出てきて「あのセッション、どこだっけ」になりがち。これはまさにシュレーディンガーのセッション——開いてみるまで、どれが目当てのやつかわからない。終わったセッションは名前の頭に【完了】を付けておくと、続きを開きたいときに区別しやすい。
    • 「重いから新規」と「履歴がほしいから続行」が両立しないとき: 答えは /compact。会話を要約して短くしつつ、流れは保てる。完全に切るほどではない、というときの中間オプションとして覚えておくと便利。「離婚するほどじゃないけど、ちょっと距離を置きたい」みたいなときに使ってください(例えが重い)。

    まとめ

    私が新しく作るときの判断は、結局この3問。

    • 直前と同じテーマ? → 続行(違うなら新規)
    • Claude が前提にしてるファイル状態は今もそのまま? → 続行(変わったなら新規)
    • 重くなりすぎ? → /compact で軽量化、それでもダメなら新規

    Chat は気軽に新規、Cowork セッションは「テーマ単位」で新規、Code セッションは「リポジトリ単位」で新規。
    コンテキストは、引き継ぐと便利な資産にも、引きずると重荷にもなる。場所を変えてリセットするのは、Claude を混乱させないためというより、自分が混乱しないため、という気がしている。冒頭の段ボール状態に戻ると、結局困るのは荷物を詰めた本人なんですよね。


    関連リンク


    この記事について

    本記事はAI支援を経て作成しているため、内容に誤りが含まれる可能性があります。実行前に公式ドキュメントをご確認ください。
    情報は2026-04-30時点でのものです。Claudeの機能は頻繁に更新されるため、最新情報はAnthropic公式サイトをご参照ください。
    本記事の内容は筆者個人の学習過程であり、いかなる保証もするものではありません。

  • ハルシネーション ー AIの「もっともらしい嘘」に2回ひっかかってから付き合い方を変えた

    ハルシネーション ー AIの「もっともらしい嘘」に2回ひっかかってから付き合い方を変えた

    カテゴリ: 学習・Tips 公開日: 2026-04-29

    このブログについて: 開発経験ゼロの私(セルシー)が Claude を毎日1つ試して記録する学習ブログ「zeroCC」です。


    「やけに堂々と間違えるな、この人…」

    AIを使い始めた最初の週、私はChatGPT時代から数えて2回、見事に騙された。

    1回目は、ある法律の条文番号を聞いたら実在しない条文を返してきた。書きぶりがあまりに堂々としていて、私は何の疑いもなく職場のメモに転記した。後日、同僚から「その第何条、どこにあるんですか」と聞かれて初めて気づいた。
    2回目は、ある書籍のタイトルと出版社を尋ねたら、ありそうな書名と実在の出版社をセットで返してきた。書名で検索したら一件もヒットしない。出版社のサイトでも見つからない。AIの中だけに存在する本だった。

    これがハルシネーションだ。中世の城下町で「あそこの井戸の底に金貨が埋まってる」と自信満々に語る吟遊詩人みたいなもので、節回しが立派なほど信じてしまう。

    💡 ハルシネーション(hallucination)とは、AIが事実と違うことを、もっともらしい言い回しで生成してしまう現象のこと。「幻覚」と訳されるが、AIが幻を見ているわけではなく、統計的に「次に来そうな単語」をつなげた結果、内容まで創作してしまった状態を指す。


    結論マップ(ビフォー/アフター)

    場面知る前の私知った後の私
    法律・制度の質問そのままメモに転記出典を聞き返す or 自分で公式サイトで照合
    書籍・論文の引用書名・著者をそのまま信じる検索で1件もヒットしないなら疑う
    「最新の〇〇は?」即答を鵜呑み「いつ時点の情報?」と必ず聞き返す

    「Claudeに聞いたから」をその場の最終決定にしない。これだけで2回目の同僚チェックを生き延びられる。


    ハルシネーションって、要は何

    Anthropic公式のヘルプセンターには、Claudeの回答が間違うことについてはっきり書いてある。要点を引くと、こうだ。

    In an attempt to be a helpful assistant, Claude can occasionally produce responses that are incorrect or misleading. This is known as “hallucinating” information.
    (役に立とうとするあまり、Claudeはときどき不正確だったり誤解を招く回答を返すことがある。これを「ハルシネーション」と呼ぶ)

    そして、起こる典型的なパターンとして公式は2つ挙げている。

    1. 最新情報に追いついていない場面:訓練データのカットオフより後の出来事を聞かれると、Claudeは混乱しやすい。
    2. 権威ありげな引用の捏造:実在の本・論文・条文に見える引用を生成してしまうことがある。「もっともらしく見えるが、根拠がない」のが厄介な特徴。

    IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の「AI利用者のためのセキュリティ豆知識」(2025年12月版)にも、生成AIの仕組みとして「情報の正しさを検証しているのではなく、統計的に次に続く確率が高い単語をつなげて文章を作る」と整理されている。事実より文章の自然さを優先する仕組みなので、精巧な嘘ほど作りやすいということになる。


    やってみるとこうなる:私の実例2件

    ケースA:架空の条文事件
    私「〇〇法の第◯条、どんな内容?」
    AI「第◯条は、…と定められています。実務では…の運用が一般的です」
    → 同僚に確認されて再検索。条文番号自体が存在しなかった。条文のあるべき形式(「〜について次の各号に掲げるとおりとする」みたいな言い回し)はそれっぽかったのに、中身は0%実在しなかった。

    ケースB:架空の書籍事件
    私「家計管理の入門書でおすすめは?」
    AI「『はじめての家計簿』(〇〇出版・著者×××・2019年刊)が定番です」
    → 出版社のサイトに該当書籍が無い。著者名で検索しても別人しか出てこない。書名・著者・出版社・年がバラバラに正しいけど、組み合わさった本は実在しない

    どちらも共通していたのは、「自信のある言い切り」「具体的な固有名詞」「もっともらしい背景説明」がセットになっていた点だった。AIが断定的に語るときほど、中身を疑った方がいい、というのが私の学習結果。


    公式が勧めている付き合い方(プロンプト編)

    Anthropicのプロンプトエンジニアリングガイド(”Reduce hallucinations”)には、ハルシネーションを減らすための工夫がいくつか紹介されている。私が試して効いたのは、次の3つだった。

    1. 「分からない」と言ってよいと先に伝える

    回答に確信が持てない場合は、「分かりません」と答えてください。
    推測で具体的な数字や固有名詞を埋めないでください。

    このひと言を冒頭に足すだけで、雰囲気で答えてくる頻度が減る。Anthropic公式も “Allow Claude to say “I don’t know”” として推奨している。

    2. 出典を一緒に出させる

    家計簿アプリで使える日本の家計調査の公的データを教えてください。
    - 各データについて、出典(公的機関名・URL)を一緒に明記してください。
    - URLが思い出せない場合は、データ名と発行機関のみを書き、URLは「不明」と明記してください。

    「URLを必ず書け」だけだと、URLまで創作される。「分からないなら不明と書け」までセットで指示するのがコツだった。

    3. 引用は原文のまま抜くよう頼む

    長い文書を渡してClaudeに要約させるとき、「まず該当箇所を原文ママで引用してから、要約してください」と頼むだけで、根拠のない言い換えが目に見えて減る。Anthropic公式もlong documents向けの定番手順として紹介している手法。


    ここで止まりそうなポイント

    • 「Claudeに聞いた」を出典にしない:高校の先生に教わった「孫引きはダメ」がそのまま当てはまる。Claudeが見せてくれたURLは、自分で開いて中身を確認するまで存在を信じない
    • 断定形ほど疑う:「〜です」「〜が定番です」と歯切れがいいときほど一拍置く。逆に「〜の可能性があります」「公開情報では確認できませんでした」と濁してくれたら、それはちゃんと不確実性を伝えている良い兆候
    • 最新情報はAIに聞かない方が早い:Claudeには知識のカットオフがある。「今月の〇〇は?」「昨日のニュースで…」みたいな質問は、Web検索を有効にするか、自分で公式サイトを開いた方が確実
    • 法律・医療・金銭はダブルチェック前提:公式も “should carefully scrutinize any high-stakes advice”(重要な助言は慎重に精査せよ)と書いている。AIは下書きや整理係として優秀だが、最終確認はAIにさせない

    まとめ

    ハルシネーションは「AIが時々起こす不具合」ではなく、今のAIの仕組みそのものに組み込まれた性質だ。完全には消えない。だから「無くす」方を目指さず、気づける側に立つのを目指すのが現実的な落とし所だった。

    私がこの2週間で身についたのは、ほんとに小さな3つだけ。断定形を一拍疑う/出典をセットで出させる/重要なことは自分で1ソース照合する。これだけで、職場のメモを書き直す回数がだいぶ減った。

    IPAの豆知識ページに、AIの付き合い方として「発展途上の新人だと思って使いましょう」という言い回しがあって、私はこれが一番しっくりきた。新人は素直で物覚えがよくて頼りになるけど、重要な書類のサインまでは任せない。AIとの距離感も、いまのところ、それくらいでちょうどいい。


    関連リンク(一次情報)


    この記事について

    本記事はAI支援を経て作成しているため、内容に誤りが含まれる可能性があります。実行前に公式ドキュメントをご確認ください。
    情報は2026-04-29時点でのものです。Claudeの機能は頻繁に更新されるため、最新情報はAnthropic公式サイトをご参照ください。
    本記事の内容は筆者個人の学習過程であり、いかなる保証もするものではありません。

  • MCP ー 「USB-Cみたいなもの」と聞いて、ようやく腑に落ちた

    MCP ー 「USB-Cみたいなもの」と聞いて、ようやく腑に落ちた

    カテゴリ: MCP・外部連携 公開日: 2026-04-30

    このブログについて: 開発経験ゼロの私(セルシー)が Claude を毎日1つ試して記録する学習ブログ「zeroCC」です。


    あれ、これだったのか

    「MCPサーバーをインストールしてください」。Claudeの解説記事でそう書かれているのを何度も見た。サーバー、という時点で私は「ああ、私には関係ない話」と画面を閉じてきた。社内の人にちらっと聞いたら「あれは USB-C みたいなものだよ」と言われ、はじめて頭の中の霧が晴れた。USB-C、知ってる。スマホの充電ケーブルと、ノートPCの横にも最近付いてる、あの薄い差し込み口。


    結論マップ(ビフォー/アフター)

    項目MCPを知る前の私MCPを知ったあとの私
    外部サービス連携「Claudeに私のGmailは見えない」と諦めていたMCPサーバーを1つ繋げばGmailもSlackも一気に見える
    導入のイメージ「サーバー」と聞いた瞬間に閉じる「USB-C差すだけ」と思えば抵抗ゼロ
    使えるツールClaudeに付いてる機能だけ世界中の有志が作った数百個のツールから選べる

    要するに何ができるか

    MCP は Model Context Protocol(モデル・コンテキスト・プロトコル) の略で、AnthropicがClaudeのために開いた「外部サービスとAIをつなぐための共通の差し込み口」のことだ。公式ドキュメントの言葉を借りると「AIアプリにとっての USB-C ポート」。USB-C はプリンタでもイヤホンでも外付けSSDでも同じ形の差し込み口で繋がる。MCP も同じで、Gmail でも Slack でも社内のデータベースでも、対応する MCP サーバーさえ用意されていれば Claude から覗きにいける。

    ここで一度、MCP サーバーという言葉だけ整理しておく。サーバーと聞くと専用機械を借りるイメージだが、ここでは「Claude と外部サービスの間に立って通訳してくれる小さなプログラム」くらいの意味だ。Gmail を読みたければ Gmail 用の MCP サーバー、Slack を読みたければ Slack 用の MCP サーバーを差し込む、というイメージで当面は十分だと思う。


    一番シンプルな使い方

    Claude Desktop(私が普段使っているアプリ)にMCPサーバーを追加する流れを書いておく。Coworkモードを開いている前提で、5分かからず終わった。

    1. Claude Desktop の右上「Settings」→「Connectors」を開く
    2. 「Browse Connectors」から欲しい連携先(例:Gmail、Google Calendar)を選ぶ
    3. 「Connect」ボタンを押し、出てきた認証画面で自分のアカウントにログイン
    4. 権限の確認画面で「許可」を押す
    5. チャットに戻り「私のGmailの未読件数を教えて」などと話しかけて動作確認

    公式に用意されたコネクタ(Gmail・Calendar・Drive など)はワンクリックで入る。コネクタ一覧にないサービスは、設定ファイル(claude_desktop_config.json という JSON ファイル)に手書きで追加する形になる。後者はやや上級者向け、と覚えておけば大丈夫だ。


    コピペして使える例

    公式コネクタにないサービスを追加するときは claude_desktop_config.json にこう書く。下は架空の「家計簿サービス(kakeibo-mcp)」を繋ぐ場合の例。実在のキー値は入れていない。

    {
    "mcpServers": {
    "kakeibo": {
    "command": "npx",
    "args": ["-y", "@example/kakeibo-mcp"],
    "env": {
    "KAKEIBO_API_KEY": "ここに自分のAPIキーを貼る"
    }
    }
    }
    }

    💡 ポイント:JSONはカンマと中括弧の位置で全部決まる。最後の項目の後ろにカンマを付けると壊れる、これだけ覚えておけば9割の事故は防げる。

    設定ファイルを保存したら Claude Desktop を一度終了して再起動する(ここを忘れると新しいサーバーは読み込まれない)。再起動後、チャットで「家計簿の今月の合計を出して」と話しかけ、ちゃんと数字が返ってくれば成功だ。


    私が間違えたこと

    最初の数日でやらかしたのは、だいたい次の3つ。

    • 「サーバー」を物理的に借りようとしていた: AWSとかさくらインターネットとか、そっち系の話だと思って身構えていた。実際は自分のPCの中で動く小さなプログラムなので、契約も請求も発生しない。
    • JSONの末尾カンマで Claude が起動しなくなった: 設定ファイルに新しい MCP サーバーを書き足したとき、最後の `}` の前にカンマを残してしまい、Claude が黙って起動しないという地獄を見た。エラーメッセージも出ない。テキストエディタの色が赤くなっていたのに、私は気づかなかった。
    • 権限の許可画面を「とりあえず全部OK」で進めた: あとで「Claudeが私のGmail全部読める状態」になっていて少し怖くなった。MCPサーバーを足すときの権限画面は、毎回中身を読んでから許可した方がいい。USB-Cと違って、繋いだ先のデータが向こうに渡る場合があるので。

    3行でまとめると

    MCPは「Claudeに新しい差し込み口を増やす規格」、と理解しておけば最初は足りる。サーバーという言葉に怯えて閉じていた半年間、本当にもったいなかった。USB-Cと同じで、対応している周辺機器を1つ繋ぐだけで、Claudeで「できること」がぐっと増える。明日、自分が一番よく使うサービスから1つ繋いでみるのを強くおすすめしたい。


    関連リンク


    この記事について

    本記事はAI支援を経て作成しているため、内容に誤りが含まれる可能性があります。実行前に公式ドキュメントをご確認ください。
    情報は2026-04-30時点でのものです。Claudeの機能は頻繁に更新されるため、最新情報はAnthropic公式サイトをご参照ください。
    本記事の内容は筆者個人の学習過程であり、いかなる保証もするものではありません。

  • コンテキストウィンドウ ー Claudeの「同時に覚えていられる量」、知らずに使ってた

    コンテキストウィンドウ ー Claudeの「同時に覚えていられる量」、知らずに使ってた

    このブログについて: 開発経験ゼロの私(セルシー)が Claude を毎日1つ試して記録する学習ブログ「zeroCC」です。


    「会話、なんで急に重くなるの?」の正体

    Claude と長く話していると、ある日突然「あれ、Claude のレスが遅い」「さっき貼ったコードの話、忘れてない?」と感じる瞬間が来る。私の場合は、家計簿アプリの相談を1時間続けたあと、急に Claude が「先ほどの企画書とは?」と聞き返してきて凍った。

    私はずっと「Claude が眠いのかな」くらいに思っていた。違った。コンテキストウィンドウという、ちゃんと名前のついた天井があった。中世の貴族が「うちの家紋にはちゃんと意味があるのよ」と言うのと同じくらい、ちゃんと名前のついた話だった。

    💡 「メモリ機能」とは別物。コンテキストウィンドウは「今のこの会話で、いっぺんに見渡せる量」の話。


    結論マップ(ビフォー/アフター)

    場面知る前の私知った後の私
    会話が重くなったとき「Claudeが疲れた」と思ってリロード「窓が満員」と気づいて /compact
    モデル選びなんとなく Sonnet長文を渡す日は 1M 対応のモデル
    長いPDFを貼るとき全部コピペして Enter何トークン乗るか想像してから渡す

    「Claudeの脳みそ」じゃなくて「Claudeの机の広さ」だと思うと、わりと一発で腑に落ちる。


    コンテキストウィンドウって、要は何

    公式ドキュメント(Claude API Docs の “Context windows”)の説明を私の言葉に砕くと、こうなる。

    コンテキストウィンドウ:1回のやり取りで Claude が同時に見ていられる文章量の上限。単位は「トークン」。

    トークン、というのが最初の壁だった。「文字数とほぼイコール、でも完全には一致しない単位」だと思っておけば日常使いには十分。英語だと「1トークン ≒ 0.75単語」(Anthropic 公式の言い回し)、日本語だとひらがなや漢字 1〜2文字くらいで 1トークンになる、というぼんやりした感覚で困ったことはない。

    💡 ポイントは「メモリ機能」との切り分け。Claude には会話を超えて覚えておく メモリ や、プロジェクト内で永続する CLAUDE.md がある。コンテキストウィンドウは、そのうち「今このターンで、Claudeの目の前に並んでいる紙の枚数」のほうを指す。

    机の広さの話なので、新しい会話を始めれば、当然リセットされる。連休明けの机が綺麗に戻っているのと同じ理屈で、これに毎回ちょっと安心している。


    モデルごとの容量(2026-04-29 時点)

    ここが今回いちばん調べる甲斐があった。直近の公式情報(Anthropic 公式ブログ・Claude API Docs・サポート記事)を並べる:

    モデル標準のコンテキストウィンドウ1Mトークン対応
    Claude Opus 4.7200K トークン対応(GA)
    Claude Opus 4.6200K トークン対応(GA)
    Claude Sonnet 4.6200K トークン対応(GA)
    Claude Sonnet 4.5 / Sonnet 4200K トークンベータあり、2026-04-30 で終了
    Claude Haiku 4.5200K トークン非対応(標準のみ)

    ポイントは2つ。

    1. 「標準は 200K」が共通の床。雑に「Claudeのウィンドウ=200Kくらい」と覚えておけば、9割の会話には足りる。Anthropic 公式のヘルプセンターにも「200K トークンは英語でだいたい 500ページ分のテキスト」と書かれていて、500ページの本を一気に渡せる机だと思うと結構広い。
    2. 1M(100万トークン)に伸ばせるモデルがある。長いコードベース・大きな PDF を一発で読ませたい日に効く。ただし Sonnet 4.5 / Sonnet 4 のベータ枠は 2026-04-30 で店じまい。明日。引っ越し蕎麦が間に合うか怪しいタイミングなので、長文常連の人は 4.6 系へ移すのが穏当。

    💡 「200K で 500 ページ」の感覚は、文学全集の片手で持てるほうの巻 1冊ぶん、と覚えると忘れない。私が文学全集を所有しているかは、また別の話。


    実感する:トークンを数えてみる小ネタ

    たとえば架空の家計簿プロジェクトで、レシート画像のテキスト起こしと、3ヶ月分の取引明細CSV と、自分が書いた要件メモをまとめて渡したい、とする。Anthropic が公開しているトークン計測 API(anthropic.messages.count_tokens、Pythonクライアントの場合)は、こんな感じで呼べる:

    from anthropic import Anthropic
    client = Anthropic()
    response = client.messages.count_tokens(
    model="claude-opus-4-7",
    messages=[{
    "role": "user",
    "content": "(ここに渡す予定の長文テキストをまとめて入れる)"
    }],
    )
    print(f"このメッセージは {response.input_tokens} トークン使います")

    💡 上のコードは API を直接叩く人向け。私みたいに Cowork で雑談しているだけのユーザーは、「あれ、長くなったな」と思ったタイミングで /compact で十分。料金メーターが見えるレストランがあったら見てしまうけれど、伝票が来てから払うのでもだいたい間に合う、というのに近い。


    ここで止まりそうなポイント

    • 「広い=必ず賢い」ではない:コンテキストが広くても、奥に置いた情報ほど Claude が見落としやすくなる現象(NVIDIA の RULER ベンチマークなどで指摘されている “lost in the middle”)はある。Claude は他社モデルより劣化が緩やかとはいえ、原理的にゼロではない。要は、机が広くても端っこの紙は見落とすことがある。重要な指示は会話の冒頭か直前に置く、が安全
    • メモリ機能と混同しない:「Claude が私のことを覚えてる」のはメモリや CLAUDE.md の話で、これらは別予算。コンテキストウィンドウは「今このターンの机の広さ」だけを指す。机を片付けても、引き出し(メモリ)にしまった付箋は残る
    • コードを丸ごと貼ると一気に減る:私は最初、500行のPythonファイルを4つ貼って「Claudeが急に物忘れした」と慌てた。長いコードはトークンを食う(コメントもインデントも全部数えられる)。該当箇所だけ貼るを徹底するだけで、机がだいぶ広く保てる
    • /compact は「圧縮」、/clear は「全消し」:以前の記事で書いたが、長くなった会話を畳むなら /compact(要約して机を片付ける)、思いきってリセットするなら /clear。コンテキストウィンドウの観点ではどちらも机を空ける動作

    まとめ

    コンテキストウィンドウは Claude が一度に見ていられる文章量の上限で、ほとんどのモデルは 200Kトークン、最新の Opus 4.7 / Opus 4.6 / Sonnet 4.6 は 1Mトークンまで広げられる。Sonnet 4.5 / Sonnet 4 の 1M ベータは 2026-04-30 で終了するので、長文派は 4.6 系への乗り換えを検討する頃合い。

    私が次にやりたいのは、同じ長い PDF を Sonnet 4.6(200K運用)と Opus 4.7(1M運用)の両方に投げて、端っこに仕込んだ重要な一文をどっちが拾うかを見比べること。机を広げたぶん端っこの紙が読まれにくくなる、という話の真偽を、自分の目で確かめたい。

    「なんとなく重くなったらリロード」を卒業して「机がいっぱい? じゃあ片付けよう」と言える側に回るだけで、Claude との会話の体験はだいぶ静かで気持ちよくなる。少なくとも私は、Claude を眠そうな新人だと誤診するのをやめられた。


    関連リンク(一次情報)


    この記事について

    本記事はAI支援を経て作成しているため、内容に誤りが含まれる可能性があります。実行前に公式ドキュメントをご確認ください。
    情報は2026-04-29時点でのものです。Claudeの機能は頻繁に更新されるため、最新情報はAnthropic公式サイトをご参照ください。
    本記事の内容は筆者個人の学習過程であり、いかなる保証もするものではありません。

  • /clear ー 「会話、本当に全部消えるの?」と最初は怖かった

    /clear ー 「会話、本当に全部消えるの?」と最初は怖かった

    カテゴリ: スラッシュコマンド 公開日: 2026-04-27

    このブログについて: 開発経験ゼロの私(セルシー)が Claude を毎日1つ試して記録する学習ブログ「zeroCC」です。


    あれ、これだったのか

    /compact を覚えた翌日、また同じ場所でつまずいた。「で、/clear って何が違うんだっけ?」。前日の自分が「混同しないように」とわざわざメモまで残していたのに、翌朝の私は冷蔵庫の前で「あれ、何しに来たんだっけ」と固まる人みたいな顔になっていた。記憶喪失の主人公どころか、記憶喪失の脇役である。

    /clear を最初に打ったとき、私は本気で「Ctrl+Z で戻せる」と思っていた。戻せない。戻せないと知ってから、私はこのコマンドにきちんと敬意を払うようになった。


    結論マップ(ビフォー/アフター)

    場面 /compact /clear
    会話の中身 要約だけ残る 完全に消える
    続きの作業 前提を引き継げる ゼロからやり直し
    こんな時 同じ作業の続きで軽くしたい 完全に別のテーマに切り替えたい

    3行で済んだ。これを最初に貼ってくれていたら、私の月曜の朝はもっと穏やかだった。


    要するに何ができるか

    /clear は Claude Code(Anthropic がターミナル向けに出している AI コーディングツール)に標準搭載されている 会話リセットコマンド だ。打った瞬間、これまでの会話履歴・要約・参照していたファイル一覧などすべてのコンテキスト(Claude が会話中に覚えている前提情報)が空になり、新しいセッションIDが発行される。

    似たコマンドに /compact があるけれど、こちらは「要約を残して続きを話せる」状態にする道具だ。/clear は要約すら残さない、文字通り 机を全部片付ける コマンドである。引っ越しではなくリセットボタン。映画でいうと、/compact は「主要キャラだけは思い出している記憶喪失モノ」、/clear は『メメント』のラスト直前で全部リセットされる側、と説明したい(観てない人ごめんなさい。要するに、めちゃくちゃ綺麗に忘れます)。


    とりあえずやってみる

    1. Claude Code を起動して、何か適当な会話を3〜4ターン続ける(例:架空のメモアプリの仕様を相談する)
    2. プロンプト入力欄に /clear と打って Enter
    3. 1秒もしないうちに Conversation cleared, new session started のような確認メッセージが返ってくる
    4. そのまま同じターミナル画面で、まったく別の話題を打ってみる(例:今度はレシピ管理アプリの設計)
    5. 試しに前の会話の単語(さっきのメモアプリ名など)を出してみると、Claude は素で「?」という顔をする(テキストなのに顔が見える、不思議)。きれいに忘れていれば成功

    私が使ったコマンド

    架空のレシピアプリ「fridge-friend」の設計を Claude と話し込んでいた、という想定で読んでほしい(実在しません。私の冷蔵庫は今だいたい白菜と豆腐で構成されています)。

    > /clear
    
    Conversation cleared, new session started.
    Session ID: sess_4f7a2c19b3e5d8a1
    
    > 別件です。jp-vacation-planner という旅行アプリの初期設計を相談したいです。
    

    💡 ポイント: Session ID が新しく発行されたら成功の合図。古いセッションは Claude 側でも参照できなくなるので、「さっきのレシピアプリの話、もう一回見せて」とお願いしても、Claude は丁重に「初めまして」と返してくる。完全に他人。同窓会で「俺だよ俺、覚えてないの?」と言われた側、と言ってもいい。

    /compact と違って引数(/clear 〇〇は残して のような指定)は基本的に効かない。残したいものがあるなら /compact、と覚えてしまったほうが手っ取り早い。


    ここで止まった

    • 「Ctrl+Z で戻せると思っていた」: 戻せない。/clear は完了系のコマンド(実行後は取り消し不可)。私はメモアプリの仕様を全部消したあと、5分くらい無の表情で画面を眺めた。タイムマシンが欲しくなる瞬間、上位5位には入ると思う
    • /compact の上位互換だと思っていた」: 違う。/clear は「要約も要らないから空にしてほしい」という主張のあるコマンドで、続きをしたいなら /compact、別件に切り替えるなら /clear、と用途で分けるのが正しい。柔道の払い腰と背負い投げを同じ技だと思っていた中学生の私と同じ間違いだ
    • 「auto-compact が動くなら自分で打つ必要ない?」: コンテキストが満杯近くになると確かに自動圧縮は走る。けれど、それは要約を残す動きで、別の話題に切り替えたい時はその要約がむしろ邪魔になる。レストランで前のお客さんの食器が残ったまま注文する、あの居心地の悪さ、と説明したい

    結論だけ言う

    /clear は会話を空にして新しいセッションを始めるコマンド。/compact が同じ仕事の続きを軽くする道具なら、/clear はテーマごと切り替える道具。両者を混ぜて使うと、やった本人だけが30分後に「あれ、さっきの話どこ行った」と途方に暮れることになる。

    私は /clear を覚えてから、別プロジェクトに切り替えるときの罪悪感が減った。「前の話、ちゃんと覚えていてあげなくちゃ」と Claude の背中を押すような気持ちで居続けていたけれど、別件は別件として 先に机を空にしてから始める ほうが、お互い気持ちよく仕事できる。引き出しは整理してから新しい服を入れる、というやつだ。


    関連リンク


    この記事について

    本記事はAI支援を経て作成しているため、内容に誤りが含まれる可能性があります。実行前に公式ドキュメントをご確認ください。 情報は2026-04-27時点でのものです。Claudeの機能は頻繁に更新されるため、最新情報はAnthropic公式サイトをご参照ください。 本記事の内容は筆者個人の学習過程であり、いかなる保証もするものではありません。

  • ZIP「解凍」と「展開」事件 ー 私と部長と新人の三国志

    ZIP「解凍」と「展開」事件 ー 私と部長と新人の三国志

    カテゴリ: 学習・Tips 公開日: 2026-04-26

    このブログについて: 開発経験ゼロの私(セルシー)が Claude を毎日1つ試して記録する学習ブログ「zeroCC」です。

    ⚠️ この記事はフィクションです。 登場する部長・新人くん・3Dモデル誤解事件・国境警備兵・北海道のお医者さんに会いに行く描写、すべて架空です。実在の解凍派・展開派・ZIPファイル各位とは一切関係ありません。ただし、「解凍」と「展開」がZIPに対しては同じ意味であることと、ZIPは何を言っても開くことは事実です。あと部長は実在しません(実在しないことに、しておいてください)。


    第一幕:事件は会議室で起きた

    ある月曜の朝、部長が私の机にやってきてこう言った。

    「セルシーさん、このZIPファイル、解凍しといて」

    「了解です」と返してファイルを受け取った私は、タスクが多すぎたので新人くんに丸投げしようと思い、こう言った。

    「これ、展開しといて」

    新人くんがキーボードに置きかけた手を止めて、まばたきを2回した。

    「……展開、ですか?」 「うん、展開」 「あの、3Dモデルでも作るんですか?

    会議室の空気が、止まった。


    結論マップ(先に答え)

    用語 意味 結果
    解凍 ZIPファイルを開いて中身を取り出す 同じ
    展開 ZIPファイルを開いて中身を取り出す 同じ

    同じです。 結論はこれです。ここで記事を閉じてもらっても構わないのですが、読み終わった人が会社で「同じだから」と部長に言うとケンカになるので、もう少しだけ事件を追ってください。


    第二幕:部長と新人の世代戦争

    私は事情を整理した。整理した結果、こうなった。

    派閥 平均年齢 主な使用環境 口癖
    解凍派 40代後半〜 Lhaplus、+Lhaca、LZH時代の生き残り 「解凍しといて」
    展開派 20代〜30代前半 Windows 11標準の右クリック 「すべて展開」

    部長は、解凍派の総大将である。新人くんは展開派の前線部隊である。私はその中間に位置する国境警備兵として、両軍の砲火を受けながら毎日ZIPファイルを開いている。

    ちなみに新人くんが「3Dモデルでも作るんですか?」と返してきた理由はあとで聞いた。彼の世代にとって「展開」とは、Blender(3Dソフト)でUV展開図を作る作業のことらしい。ZIPファイルから立方体の展開図を想像する世代が、すでに存在していたのである。


    第三幕:私、ルーツを探しに行く

    両派閥の停戦のため、私はネットの森に分け入った。「なぜZIPの操作にお寿司の冷凍庫みたいな言葉が使われているのか」を解明するためである。

    辿り着いたのは、ある日本のお医者さんの存在だった。

    吉崎栄泰さん。1955年、北海道生まれ。内科医をしながら、1988年に「LHarc」という圧縮ソフトを作った人である。これがのちに「LHA(ファイル拡張子は .lzh)」と呼ばれ、日本中のフロッピーディスクをパンパンに膨らませることになる。

    このソフトの画面に、当時こんなメッセージが表示されていた。

    Freezing  : data1.txt
    Melting   : data1.txt
    

    Freezing(凍結)Melting(融解)。圧縮するときは凍らせて、戻すときは溶かす。

    💡 ポイント: ファイルを「凍らせる」「溶かす」というメタファーは、日本のパソコン通信ユーザーの間でじわじわと定着した。Meltingが日本語に乗り移った結果、生まれた言葉が——解凍

    つまり日本のZIPユーザーは、30年以上前からファイルを電子レンジで温めるような気分でPCを使っていたわけだ。私はこれを知った瞬間、コンビニのファミチキを温めるあの気持ちと、ZIPを開く気持ちが一直線につながった。胃袋とPCの間に橋がかかった。


    第四幕:Windowsが「展開」と言い出した日

    時は流れ、Windowsはバージョンを重ねた。気づけばエクスプローラーの右クリックメニューには「すべて展開」と書かれていた。Microsoftが勝手に和訳の路線を変更したのである。

    英語の「Extract(取り出す・抽出する)」を直訳した結果が「展開」だ。一方「解凍」は、英語に対応する単語がない、日本人の冷蔵庫的発想から生まれたオリジナル翻訳である。

    用語 由来 翻訳の方向性
    解凍 日本のLHA文化 → Melting → 解凍 意訳・詩的
    展開 Microsoftの公式UI → Extract → 展開 直訳・実務的

    つまり部長はを、新人くんは仕様書を読んでいるのだ。会議室で噛み合うわけがない。


    第五幕:実験してみた

    伝聞だけで終わるのもアレなので、私はZIPファイルに向かって声を出してみた。

    私: 「あなたを解凍します」
    ZIP: (中身が出てくる)
    
    私: 「あなたを展開します」
    ZIP: (中身が出てくる)
    
    私: 「あなたを溶かします」
    ZIP: (中身が出てくる)
    
    私: 「あなたを開示します」
    ZIP: (中身が出てくる)
    

    ZIPは何を言っても開く。 言葉を選ぶのは人間の都合であって、ZIP本人は気にしていない。これは大きな発見だった。

    ちなみに、コマンドラインで操作するなら、Windowsではこう打つ。

    # ZIPファイルを開く(呼び方は心の中で自由)
    Expand-Archive -Path .\sample.zip -DestinationPath .\output
    

    💡 ポイント: Expand-Archive はPowerShellの標準コマンドで、ZIPの中身を指定フォルダに取り出す。コマンド名の動詞は Expand(展開する)。Microsoftはここでも「展開」で揃えている。一方で、Mac勢は unzip sample.zip と打つ。Macは「ジップを脱ぐ」派である。


    エピローグ:会議室に戻る

    私は部長と新人くんに、調査結果をこう伝えた。

    「解凍と展開は同じです。ただし、解凍は北海道生まれの詩、展開はMicrosoft発の翻訳です」

    部長は「ふーん、ロマンがあるな」と言った。新人くんは「3Dじゃなくてよかった」と言った。私のZIPファイルは、その間ずっと机の上で待機していた。

    職場で世代の違うメンバーとZIPの話をするときは、こう言うのが一番穏便だと学んだ。

    そのファイル、開いといて。

    圧縮を解く動作を、開くという日本語が全部包み込んでくれる。 言葉の包み紙としての「開く」は偉大である。


    まとめ:今日の学び

    • 「解凍」と「展開」はZIPに対しては同じ意味。中身が出てくる結果はまったく一緒
    • 「解凍」は日本独自のロマン用語(LHAのMeltingメッセージが起源)
    • 「展開」はWindows公式の翻訳路線で、若い世代の標準語になりつつある
    • 世代をまたぐ会議では「開いといて」がすべてを丸く収める

    ちなみにこの記事を書きながら気づいたが、私はLHAをリアルタイムで使った世代ではないのに、なぜか「解凍」と言ってしまうクチである。会社の部長が日々の言語を伝染させていたのだと思う。ZIPは伝染する。気をつけよう。


    本記事はAI支援を経て作成しているため、内容に誤りが含まれる可能性があります。実行前に公式ドキュメントをご確認ください。 情報は2026-04-26時点でのものです。仕様や用語の使われ方は変わる可能性があるため、最新情報は各OS・ソフトウェアの公式情報をご参照ください。 本記事の内容は筆者個人の学習過程であり、いかなる保証もするものではありません。