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  • pdfスキル ー 申込書PDF、頼んだら記入済みで返ってきて絶句した

    pdfスキル ー 申込書PDF、頼んだら記入済みで返ってきて絶句した


    「申込書PDF、ご記入のうえご返送ください」で固まった夜

    「こちらのPDFに必要事項をご記入のうえ送り返してください」――この一文を見た瞬間、PCの前で頭を抱えた経験、私だけじゃないと思う。20ヶ所近い空欄。印刷して手書きするとミスる、書き直しでまた印刷、Adobe Acrobatの体験版をまた入れ直すのか、というあの心労。先週の私の話だ。

    その夜、昨日のxlsxスキルでExcelが本物で出てきた経験から味をしめて、ダメ元でClaudeに「このPDFに名前と住所を入れて」と頼んだ。返ってきたのは、まさかの記入済みのPDFそのもの。Adobe Readerで開いたら、空欄に私のテキストがきちんと収まり、PDFの構造はそのまま生きていた。「PDF、編集まで面倒見れたのか」と画面に向かって言ってしまった。


    結論マップ(ビフォー/アフター)

    項目pdfスキルを知る前pdfスキルを知ったあと
    申込書PDFの記入印刷→手書き→スキャン→送付、書き間違えて再印刷「このPDFに名前と住所を入れて」で記入済みPDFが返る
    PDFから情報を抜き出すコピペが効かない、表は崩れる、何度もやり直す「このPDFの表を.xlsxにして」で本物のExcelが返る
    PDFそのものを作るWordで作って「PDF出力」→レイアウトが崩れて修正の連鎖「請求書のPDFを1ページで」で完成形が返る

    結局pdfスキルは何ができるのか

    pdfスキルは、Anthropicが公式に配布しているClaudeの組み込みスキルのひとつで、PDFファイル(拡張子 .pdf)を読む・編集する・新しく作るためのもの。スキル、と言われると身構えるが、ここでは「Claudeに『○○の機能』を追加する小さな取扱説明書」くらいに思えばいい。pdfスキルが入っていると、Claudeは「PDFのフォームフィールドとは何か」「表のテキスト座標とは何か」を理解した状態で動き、Adobe Readerでちゃんと開ける形のファイルを返してくれる。

    公式の組み込みスキルは現時点で4種類ある:

    • docx ー Word文書(.docx)の生成・編集
    • xlsx ー Excel(.xlsx)の生成・編集
    • pptx ー PowerPoint(.pptx)の生成・編集
    • pdf ー PDFの読み取り・編集・生成 ← 今日の主役

    特別なインストールは要らない。ファイル作成(コード実行)が有効な環境なら、最初から使える。Coworkモードもこの条件を満たしているので、私は何も設定しないまま動かせた。私と同じMaxプランでなくても、Free・Pro・Teamいずれのプランでもファイル作成が有効になっていれば呼び出せる。


    裏側でClaudeが何をしているか

    PDFと聞くと「もう完成された印刷物」のイメージがある。が、実態はそうでもない。中身を覗くと、座標とフォントとテキストが並んだ「組版データ」だ。docxやpptxと違って読み取り側のニーズも強いので、pdfスキルは複数のPythonライブラリを使い分けている。

    • pypdf ー PDFの結合・分割・回転・暗号化解除など、構造をいじる作業
    • pdfplumber ー テキストや表の正確な抽出、Excelに渡せる形での切り出し
    • reportlab ー 新規PDFの組版(請求書・レポート・証明書を一から作る)
    • pytesseract ー スキャンされた画像PDFのOCR(画像になってしまった文字を起こす)

    グーテンベルクが活版印刷を発明したとき、500年後にPCの中で印刷物が量産されるとは思わなかっただろう。私は契約書の写真PDFをチャットにドラッグして「条項3を要約して」と頼んだら、画像から文字を起こして要約まで返してくれて、しばらく信じられなかった。


    実際にやってみた手順

    私が初めてpdfスキルを使ったときの流れを、そのまま書いておく。Coworkモードで実行している。

    1. CoworkのチャットにPDFをドラッグ&ドロップする(記入したい場合・読みたい場合)
    2. やってほしいことを書く。「.pdfで」「PDFの○○を」のようなトリガー語を含めると確実にスキルが起動する
    3. Claudeから内容の確認が入ることがある(記入する氏名・住所、抽出したい列、生成するPDFの構成など)
    4. 結果がチャットにダウンロードリンクとして表示される
    5. 修正があれば「住所の番地を訂正して」「2ページ目の表を縦並びに」と続けて頼むと差分版のPDFが返る

    ここのコツは、ステップ2で「PDF」「.pdf」のいずれかの単語をきちんと入れること。「ファイルで」「書類で」だけにすると、Word文書やテキストが返ってきてしまうことがある。


    実際に打ったプロンプト

    実際に私が試したプロンプトを3つ。固有名詞は架空のものに差し替えた。

    【プロンプト1:申込書PDFの記入】
    添付のPDF「申込書.pdf」のフォームフィールドを以下の値で埋めて、
    記入済みの.pdfで返してください。
    氏名: 山田 太郎
    住所: 東京都中央区銀座1-2-3
    電話: 090-0000-0000
    申込日: 2026-05-10
    希望コース: スタンダード
    入力後、各フィールドが空欄になっていないか確認してから返してください。
    【プロンプト2:PDFの表をExcelに】
    添付の「四半期売上.pdf」(5ページ)から、
    2ページ目と3ページ目にある表(製品別売上の一覧)だけを抜き出して、
    1つの.xlsxにまとめてください。
    列名はPDFの見出しをそのまま使ってください。
    【プロンプト3:請求書PDFの生成】
    以下の内容で請求書のPDFを1ページ作ってください。
    宛先: 株式会社サンプル 御中
    件名: 2026年4月分 ご請求書
    明細:
    - コンサルティング料 x 1 = 100,000円
    - 資料作成料 x 1 = 30,000円
    消費税10%を別行で記載、税込合計を最後に明記。
    振込先: 架空銀行 銀座支店 普通 1234567
    シンプルな配色(白+黒+細い罫線)、A4縦、左上に発行日。

    💡 ポイント:「.pdfで」もしくは「PDFで」と書くとスキルが確実に起動する。「ファイルにして」だけだとMarkdownやテキストが返ってくることがあるので、形式は明示した方がいい。

    プロンプト1のように、既存のPDFを添付して「これに記入して」と頼むやり方が、私のなかでは最強だった。手書き→スキャン→送付の工程がまるごと消える。


    詰まった順に並べると

    10日ほど使ってみて、私が引っかかったポイントを3つだけ。

    • フォームフィールドがないPDFは記入できない: 「フィールド」とは、PDF制作時にあらかじめ用意された入力枠のこと。これがないPDF(紙をそのままスキャンしただけのPDF)は、Claudeに頼んでも「フィールドが見当たりません」と返ってくる。その場合は「テキストレイヤーを上から重ねる」依頼に切り替えると、見た目に書き込んだ風のPDFは作れる。提出物として相手に認めてもらえるかは先方次第なので、提出前に体裁を確認すること。
    • OCRは画質に勝てない: スキャンPDFが斜めだったり、字が薄かったりすると、抽出されたテキストに誤字が混ざる。私は契約書の重要箇所が「第3条」が「第8条」に化けていたケースに出会った。重要書類は必ず原本と突き合わせること。OCRは下読みの相棒、ぐらいの距離感がちょうどよかった。
    • 長いPDFを丸ごと「要約して」は雑になる: 100ページ超のPDFを「要約して」と頼むと、章ごとに飛び飛びの要約が返ってきて、論点が抜けることがあった。「序章だけ」「第3章の論点だけ」と章単位で切って頼んだ方が、密度が安定した。

    で、結局どうなの

    「AIでPDFを扱う」と聞くたびに、私は「どうせ抜き出すだけでしょ」と思っていた。pdfスキルは、その想像を3方向に超えてきた。読み取りだけじゃない、記入も新規生成もできる。docx・xlsx・pptxの3スキルが「Claudeが書類を作れる」話だったとすると、pdfは「Claudeが書類を読んで・直して・作れる」話だ。一段ぶん深い。

    4月30日のdocx、5月8日のpptx、5月9日のxlsx、そして今日のpdf。Anthropicが配っている公式の組み込みスキル4種を、ようやく全部試し終えた。私の体感としては、毎日の業務にいちばん溶け込んだのはpdfだった。Word・Excel・PowerPointは「自分で作る側」が多いが、PDFは「日々飛んでくる側」だからだ。届いたPDFを開いてため息をつく時間が、これで何分か返ってきた。


    関連リンク


    この記事について

    本記事はAI支援を経て作成しているため、内容に誤りが含まれる可能性があります。実行前に公式ドキュメントをご確認ください。 情報は2026-05-10時点でのものです。Claudeの機能は頻繁に更新されるため、最新情報はAnthropic公式サイトをご参照ください。 本記事の内容は筆者個人の学習過程であり、いかなる保証もするものではありません。

  • xlsxスキル ー Excel、頼んだら関数まで生きていて二度見した

    xlsxスキル ー Excel、頼んだら関数まで生きていて二度見した


    「集計、今日中にお願いします」の朝に試した

    「先月の売上、Excelで集計しておいて」――この一言で頭の中の電源がスッと落ちる人、私だけじゃないと思う。SUMIFがどっちが範囲でどっちが条件だったか、毎回ググる。VLOOKUPに至っては「なぜか1列ずれる」を半年に1回はやらかす。先月の私の話だ。

    その朝、昨日のpptxスキルでスライドが本物の.pptxで出てきた経験を思い出して、ダメ元でClaudeに「.xlsxで来店データの月次集計を作って」と頼んだ。返ってきたのは、本物の .xlsx ファイル。Excelで開いたら、SUMIFがちゃんと範囲と条件を取って、合計セルが生きている。手で打ち直したわけじゃなくて、関数として動いている。「お前、関数まで仕込めるのか」と画面に向かって言ってしまった。


    結論マップ(ビフォー/アフター)

    項目xlsxスキルを知る前xlsxスキルを知ったあと
    月次集計表の初稿白紙のシートを開いて固まる、SUMIFの引数で30分「.xlsxで関数入りで作って」で本物の.xlsxが出てくる、3分
    表のフォーマット列幅・罫線・桁区切りを毎回手作業で設定「金額列はカンマ区切り、太字、薄い罫線で」と頼むだけ
    修正の渡し方修正点をメモしてExcelを開き直す「3列目に前月比の列を追加して」で差分版.xlsxが返る

    xlsxスキルって何

    xlsxスキルは、Anthropicが公式に配布しているClaudeの組み込みスキルのひとつで、Excelファイル(拡張子 .xlsx)を生成・編集するためのもの。スキル、と聞くと身構えるが、ここでは「Claudeに『○○の機能』を追加する小さな取扱説明書」くらいに思えばいい。xlsxスキルが入っていると、Claudeは「セル参照とは何か」「数式と値の違い」「シートをまたぐ参照」を理解した状態で動き、Excelがちゃんと開ける形のファイルを作って渡してくれる。

    公式の組み込みスキルは現時点で4種類ある:

    • docx ー Word文書(.docx)の生成・編集
    • xlsx ー Excel(.xlsx)の生成・編集 ← 今日の主役
    • pdf ー PDFの作成・読み取り・編集
    • pptx ー PowerPoint(.pptx)の生成・編集

    特別なインストールは要らない。ファイル作成(コード実行)が有効な環境なら、最初から使える。Coworkモードもこの条件を満たしているので、私は何も設定しないまま動かせた。私と同じMaxプランでなくても、Free・Pro・Teamいずれのプランでもファイル作成が有効になっていれば呼び出せる、と公式ドキュメントには書かれている。


    裏側でClaudeが何をしているか

    ガリレオが「自然は数学の言葉で書かれている」と言ったらしいが、Excelは数学の言葉で書かれた小さな世界そのものだ。ここはちょっとだけ仕組みの話を。

    .xlsx ファイルは中身を覗くと、ZIP圧縮されたXMLの集合体だ。シートの構造・セルの値・数式・書式の一つひとつが、構造化されたタグで書かれている。手書きでXMLを綴ることもできるが、タグの閉じ忘れひとつでExcelが「ファイルが破損しています」と言って開かなくなる。地味に詰む。

    xlsxスキルは、内部で openpyxl(複雑な書式・数式・Excel固有機能の専門係)と pandas(大量データの整形・分析の専門係)という2つのPythonライブラリを使い分けてこの面倒な部分を肩代わりしてくれる。私が「来店データの月次集計を作って」と頼むと、Claudeはまず構成を組み立て、pandasに「データをこう並べ替えて、合計をこのセルに置け」と命令を出し、openpyxlに「金額列は太字でカンマ区切り、ヘッダーは薄いグレー背景」と命令を出して、最終的に1つの .xlsx を生成する。

    「Excelを開くソフトすらClaude側にはない」のに、関数まで生きたExcelが返ってくる。これが今日の私のコペルニクス的転回だった。AIはチャットでテキストを返すだけ、と思っていた地動説が、もう一回ひっくり返された。


    5分でできること

    私が初めてxlsxスキルを使ったときの流れを、そのまま書いておく。Coworkモードで実行している。

    1. Coworkのチャットで「Excelで」「.xlsxで」「スプレッドシートを」のようなトリガー語を含めて依頼する(これでスキルが自動で呼ばれる)
    2. Claudeが必要な情報を聞いてくる(シート構成・行数・関数を入れるか・既存ファイルを上書きするかなど)。AskUserQuestionで選択肢が出ることもある
    3. 下書きが完成すると、チャット欄にダウンロードリンクが表示される
    4. Excelで開いて、関数バーをクリックして「数式が値ではなく式として入っているか」を確認する。これが今日いちばん大事な一手
    5. 修正したい箇所があれば「3列目に前月比の列を追加して」「合計行を2行目から最終行までに自動で広がるようにして」と続けて頼む。差分が反映された新しい.xlsxが返ってくる

    ここのコツは、ステップ1で「Excel」「.xlsx」「スプレッドシート」のいずれかの単語をきちんと入れること。「表を作って」だけにすると、Claudeはチャットの中にMarkdownの表をだらだら書き出して終わってしまうことがある。鍵はトリガー語にあった。


    私が使ったプロンプト

    実際に私が試したプロンプトを3つ。固有名詞は架空のものに差し替えた。

    【プロンプト1:来店データの月次集計】
    2026年4月分の来店ログを集計するExcelを.xlsxで作って。
    シート1「raw」: 日付・店舗名・来店人数・売上の列を、ダミーで30行入れる
    シート2「集計」: 店舗ごとの来店人数合計(SUMIF)と売上合計(SUMIF)
    シート3「グラフ」: 集計シートの売上を棒グラフで可視化
    金額列はカンマ区切り、ヘッダー行は太字、薄いグレー背景で。
    【プロンプト2:請求書テンプレート】
    小規模事業者向けの請求書テンプレートを.xlsxで作成してください。
    - 上部: 宛先・自社名・発行日・請求書番号
    - 中央: 品目10行ぶんの空欄(数量×単価=小計の関数を仕込む)
    - 下部: 小計・消費税10%・合計(すべて関数で連動)
    A4縦で印刷したときに1枚に収まる列幅にしてください。
    【プロンプト3:既存ブックへの追記】
    添付した「2026Q1_実績.xlsx」と同じフォーマットで、
    新しいシート「2026Q2_予定」を追加してください。
    列構成・書式・関数の組み方は寄せて、値だけ空欄でお願いします。

    💡 ポイント:「関数を入れて」と明示すると、SUMIF・VLOOKUP・IF などが値ではなく数式として入る。明示しないと、Claudeが計算済みの値だけを書き込んでくれる場合があり、あとで数字を直すと合計が更新されなくなる。

    プロンプト3のように、既存の.xlsxを添付して「このフォーマットで別シートを追加」と頼むやり方が、私のなかでは最強だった。ゼロから作ると書式がバラつくが、ベースを渡せば寄せてくれる。


    ここで止まった

    2週間ほど使ってみて、私が引っかかったポイントを3つだけ。

    • 「合計を入れて」だと値で入ってしまうことがある: 「集計」と頼んだだけだと、Claudeが裏で計算した結果の数字(値)だけセルに書き込まれることがあった。あとで元データを直しても合計が動かない、という現象でしばらく混乱した。「SUMIFで関数として入れて」「数式で残して」と明示したら解決した。Excelを使う側の私が「関数で残してほしい」と思っているとは、Claudeにとって自明じゃなかった。
    • 会社のテンプレートが反映されない: 「うちの請求書フォーマットで」と頼んでも、Claudeはうちの会社のフォーマットを知らない。テンプレ.xlsxを先に添付して「これと同じレイアウトで別の月のシートを追加して」と頼むやり方に切り替えたら、ようやく雰囲気が寄った。スキル本体ではなく、与える材料の問題だった。
    • 巨大データはチャット添付に向かない: 数万行のCSVをそのまま添付して「集計して」と頼むと、添付サイズの上限に引っかかったり、処理が遅くなったりした。大きいデータは、Claudeに「集計の手順とExcelの組み立て方」を作ってもらって、データ自体は自分のPCのExcel側で読み込ませる、という分業に切り替えたら現実的に回った。スキルは万能ではないことに気づくのに、3日かかった。

    使ってみての正直な感想

    「AIにExcelを作らせる」と聞くたびに、私は「どうせ最後はExcelで関数を打ち直すんでしょ」と思っていた。xlsxスキルはその打ち直し工程をなくしてくれた。完璧な集計表が出てくるわけではない。けれど、0→30%のたたき台が、関数まで動く状態で3分で出てくる、というのが正味の体験だ。残りの70%を私が磨く。それでも、白紙のシートを眺めて固まる時間が消えただけで、毎回30分以上は得している。

    昨日のpptxスキルの記事で、私は「PowerPoint、頼んだら本当に出てきて二度見した」と書いた。xlsxスキルの今日も、感想は系統が同じだ。Claudeは話しかけられた言葉から、Office文書を本物のファイル形式で、しかも関数まで生きた状態で出してくる。docx・xlsx・pdf・pptx の4兄弟、明日からは「どれを呼ぶか」だけ意識すれば、月曜の朝の電源落ちが少しだけ減る、と思う。


    関連リンク

  • Claude Opus 4.7 ー 同じ料金のままなのに、Claudeの口数まで変わっていた

    Claude Opus 4.7 ー 同じ料金のままなのに、Claudeの口数まで変わっていた


    軽い気持ちでポチッとしたら、Claudeの口数まで変わってた

    軽い気持ちでモデル選択を押した日の話だ。Opus 4.6 で別に困っていなかった私が、Opus 4.7 を選ぶ気になったのは料金が据え置きと聞いたから。「ならとりあえず変えとくか」くらいのテンションでクリックした。

    その日からClaudeの返事の温度がうっすら違って、絵文字は減り、相づちは消え、代わりに「いま3ファイル目を直しています」と進捗を勝手に喋り始めた。料金は同じなのに、人格設定だけ更新されたみたいな違和感だった。


    結局Opus 4.7は何が変わったのか

    Opus 4.7 は、Anthropicが2026年4月に出した最新のClaude最上位モデル。私が4月20日に書いた「モデルの種類 ー Opus・Sonnet・Haiku、3つもある理由が今日わかった」の「Opus」枠が、4.6から4.7に世代交代したと思えばいい。役割は前と同じで「いちばん難しい仕事を任せる脳」担当。違うのは、その脳の作りと気質。

    ざっくり言うとこういう違いがある。

    項目Opus 4.6(前世代)Opus 4.7(いまここ)
    料金(1Mトークンあたり)入力$5 / 出力$25入力$5 / 出力$25(据え置き)
    コンテキストウィンドウ1M(拡張モード)1Mがネイティブ標準
    思考レベル(effort)low / medium / high / maxxhigh が新設(high と max の間)
    指示への忠実さわりと緩く解釈してくれる書いた通りに、文字通り動く
    文章のトーン相づち多め・絵文字多め端的・絵文字少なめ・進捗を逐次報告
    画像の最大解像度1568px(約1.15MP)2576px(約3.75MP)

    「料金は同じ・コンテキストは1Mが標準・思考レベルは1段増えた・口は固くなった」と覚えておけば、まず外さない。


    裏側でAnthropicが何を仕込んだのか

    Opus 4.7 の中身でいちばん面白いのは、トークナイザー(文章をAIが読める単位に切り分ける仕組み)が新しくなった点だと思う。同じ日本語の文章を渡しても、4.6に比べて最大1.35倍のトークン数を消費する。「料金は同じ」と言いつつ、ここだけは静かに変わっている。請求額が思ったより伸びる人もいるはずなので、長文を毎日投げる用途の人は最初の数日で実費を見ておいた方がいい。

    ベンチマーク的には、Anthropicが社内で行った93タスクのコーディング評価で、4.7 は 4.6 より13%多くタスクを解いたそうだ。CursorBench という「AIが本当に実用コードを書けるか」を測る指標では、70%(4.6 は58%)。数字だけ見ると派手じゃないが、コードの世界で12ポイント差は「壁を1枚抜けた」感覚に近い。私のような非エンジニアが一番恩恵を受けるのは、長い指示書をちゃんと最後まで守ってくれるようになったところ。4.6 は途中で「ここは省略していいだろう」と気を利かせてしまうことがあった。4.7 は気を利かせない。書いた通りにやる。良くも悪くも。


    切り替え手順(CoworkとClaude Codeで別々に)

    私が実際に切り替えたときの手順を書いておく。Coworkとデスクトップは別々に設定する必要があることに気づくのに5分かかった。

    1. Coworkの場合:チャット画面右下のモデル名(「Opus 4.6」と書いてある場所)をクリック、リストから「Opus 4.7」を選ぶ
    2. Claude Codeの場合:ターミナルで claude --version を打って v2.1.111以上であることを確認する。古ければ npm i -g @anthropic-ai/claude-code でアップデート
    3. Claude Codeの設定で /model opus と打つ(または ~/.claude/settings.json の "model" を "claude-opus-4-7" に書き換える)
    4. APIを直接叩いている人(Claudeを自分のプログラムから呼び出している人)は、モデルIDを claude-opus-4-6 から claude-opus-4-7 に書き換える。Enterprise(法人向けの上位プラン)の従量課金とAPI利用者は、2026-04-23から自動でデフォルトが4.7に切り替わっているので、明示してなければ既に4.7を使っている可能性が高い
    5. (任意)思考をさらに深くしたいときは effort(思考の深さレベル。ざっくり言うと「どのくらい時間をかけて考えるか」のダイヤル)を xhigh に設定する。私はやめた。1リクエストの待ち時間が体感で2倍になった

    ProとMaxプランの普通のチャット利用なら、ステップ1と3だけで終わる。


    実際に投げたプロンプトと、返ってきた違い

    切り替え前後で同じプロンプトを投げて比較してみた。架空の「町内会のお知らせ」を直してもらう設定。

    あなたは校正者です。以下の文章の冗長な表現を3箇所だけ削ってください。
    理由は付けず、修正後の文章だけを返してください。
    【元の文章】
    このたび、当町内会では、夏祭りに関する大変重要なお知らせを
    皆様にお伝えさせていただきたいと思いますので、何卒よろしくお願い申し上げます。

    Opus 4.6 の返事(要約): 「もちろんです!😊 以下、ご提案の修正です。理由も少し添えてお伝えします(後略)」

    Opus 4.7 の返事: 「夏祭りに関するお知らせをお伝えします。」

    違いがすべてここに出ている。「理由は付けず」「修正後の文章だけ」と書いた指示を、4.7 は文字通り守った。4.6 は気を利かせて理由も足した。どちらが正解、ではなく「4.7 は書いた通りに動く」ことを知っておかないと、急に冷たくなったように感じてしまう。


    つまずいた点・知っておいた方がいいこと

    私が乗り換え初日にぶつかった3つを置いておく。

    • 「やわらかく書いてくれる」前提のプロンプトが急に冷たく感じる: 4.6で動いていた「お疲れ様です。〜していただけますか?」のような遠回しな指示を、4.7 は「で、何を?」と最短距離で返してくる。プロンプトの書き方を「お願い」から「指示」に変えるとちょうどよくなる
    • トークン課金が静かに膨らむ: 同じ会話量でも消費トークンが2〜3割増える月がある。月初に「あれ、いつもより多い」と思ったらまずトークナイザー変更を疑う。Anthropicの管理画面で前月比を見ておくと精神衛生上いい
    • APIを直接呼んでいる開発者は破壊的変更に注意: Opus 4.6 のレスポンス形式に合わせて作ったコードがそのままでは動かないケースがある。公式アナウンスに「breaking changes」と明記されているので、API経由で本番運用している人は、まず開発環境で動作確認してから本番を切り替えること(私のような非エンジニアのチャット用途では、この心配はない)

    同じ料金で性格が変わった、と思って付き合う

    Opus 4.7 への乗り換えは、お金の話としてはノーリスク(料金据え置き)、使い勝手の話としては一度の慣らし運転が必要、というのが私の結論だ。指示は文字通り、相づちは控えめ、画像は高精細、思考は1段深くできる。Opus 4.6 が「気の利く先輩」だったとすれば、4.7 は「言われたことを正確に最短距離で仕上げる職人」に世代交代した感じ。

    ちなみにAnthropicの「Sonnet」と「Haiku」も4.6・4.5世代にいて、3つ並べて使い分ける構図は変わっていない。私は「重い思考は4.7、毎日の雑談は Sonnet 4.6、急ぎは Haiku 4.5」を続けながら、Opus 4.7 の冷たさにじわじわ慣れているところ。

    「優しい返事が恋しくなったら4.6に戻すボタン、ないかな」とは1回だけ思った。が、たぶん戻さない。仕事を頼む相手としては、4.7 の方が信用できる。


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  • スケジュールタスク ー 「毎朝7時に同じ作業」、ようやく卒業した

    スケジュールタスク ー 「毎朝7時に同じ作業」、ようやく卒業した


    「あれ、私、これ毎朝やってない?」

    ある朝、私はメールを開いて、ニュース記事を3つ読んで、Slackをざっと眺めて、要約をメモ帳に書き写していた。手が止まったのは7日目だった。「これ、Claudeに頼んだら一発じゃない?」と気づいた。さらに次の瞬間、もっと怖いことに気づいた。「いや、そもそもClaudeに頼むのも、毎朝私が起こしてる」。これがスケジュールタスクとの出会いだった。

    「毎朝7時に〇〇しておいて」と一度だけ伝えれば、あとはClaudeが勝手に動いてくれる。私は使ってはいた。ただ、使い方が「適当」だった。今日はその「適当」の中身と、ちゃんと使ったらどう変わったかを書く。


    結論マップ(ビフォー/アフター)

    観点Before(適当に使ってた頃)After(ちゃんと使った今)
    起動方法Claudeを開いて、毎回「いつものお願い」と打つ朝7時に勝手に動いてGmailに結果が届く
    設定の中身「毎日」とだけ言って、時刻をClaudeに任せていたcron式(0 7 * * *)で時刻を明示
    失敗時の挙動失敗していたかすら気づかない通知が来ないことで「何かおかしい」と気づける

    スケジュールタスクって、結局なに?

    スケジュールタスク(scheduled tasks)は、Claude Coworkに「この作業を、このタイミングで、自動で実行して」と登録できる機能。Cowork(Claudeのデスクトップアプリ内にある作業モード。ファイル操作や外部連携ができる)で動く定期実行の仕組み、と思っておけばいい。

    公式ヘルプセンターによれば、登録時に「hourly/daily/weekly/weekdays/manually」のいずれかを選べる。”manually” は「自動では動かさず、ボタンを押したときだけ動く」モード。「毎日同じ作業」だけじゃなくて「ワンクリックで呼び出せるショートカット」としても使える。私はここを最初知らなくて、半月くらい損していた。


    最小ステップで作ってみる

    公式の手順は驚くほど短い。

    1. 左サイドバーの「Scheduled」を開く(Coworkモード)
    2. 右上の「+ New task」をクリック
    3. プロンプト欄に「やってほしい内容」を書く
    4. 頻度(hourly / daily / weekly / weekdays / manually)を選ぶ
    5. 「Save」を押す

    たぶんこれで7割の人は満足する。私もそうだった。「daily」を選んで、文章だけ書いて、「Save」。それで翌朝ちゃんと動いてくれる。動いてくれるんだけど、時刻はClaudeにお任せになっている。これが今回の話の発端。

    「7時に動いてほしいのに、9時に動く」みたいなことが起きる。/schedule というスキルを使うか、登録モーダル内でcron式を直接入れると、時刻まで自分で握れるようになる。


    動くプロンプト例:朝のニュース要約タスク

    「平日の朝7時に、今日チェックすべきニュースを3本にまとめてGmailに送る」を作るときの中身。

    頻度: weekdays(または cron 式: 0 7 * * 1-5)
    プロンプト:
    今日の日付は {{date}} です。以下を順番に実行してください。
    1. WebSearch で「Claude OR Anthropic ニュース」と検索し、
    過去24時間以内に公開された記事を最大10件取得
    2. その中から「私の仕事に関係しそう」「初心者向けの新機能」の
    2軸で重要な3本を選び、それぞれ100字以内で要約
    3. Gmail MCP で create_draft を使い、
    件名「【朝のClaudeニュース3本】{{date}}」で下書き保存
    成功・失敗どちらの場合も、最後に1行で結果サマリーを出力すること。

    💡 自動実行されるタスクは、途中で「これでいいですか?」と聞き返せない。だから「成功時はこう、失敗時はこう書いて終わる」まで指定しておく。これは公式ドキュメントでも繰り返し強調されている。


    つまずいたところ

    • PCが寝てたら動かない: スケジュールタスクは「PCが起きていて、Claudeデスクトップアプリが開いている」ときにしか動かない。寝かせていた朝はスキップされる(次に起こしたタイミングでまとめて実行される挙動)。私は最初これを「壊れた」と勘違いした
    • 「毎日」だけだと時刻が選べない: 厳密な時刻が必要なら、登録時に 0 7 * * * のようなcron式(時刻を5項目で表す書き方。例の 0 7 * * * は「毎日7時0分」)を直接入れる。/schedule スキルを呼べば「朝7時に」と日本語で書いても自動でcron式に変換してくれる
    • 失敗したかが見えづらい: 自動実行のログは Cowork 側に残るが、見に行かないと気づかない。タスク本体に「最後にGmailへ通知する」「失敗したらSlackに送る」までセットで書いておくと、「通知が来ない=失敗」と分かるようになる
    • manually モードを見落としがち: 「自動で動かさず、押したときだけ動く」モード。「決まったプロンプトを毎回打ちたくない」ときの専用ボタンとして使える。私はこれを知ってから、長文プロンプトを3つ登録した

    まとめ:「決まった作業」はもう、私の仕事じゃない

    スケジュールタスクのありがたさは、朝起きてからの最初の30分が、自分のためだけの30分になることだと思う。決まった作業はClaudeが先に終わらせてくれる。私はその結果を読むところからスタートできる。

    「適当に使ってた」のと「ちゃんと使った」の差は、cron式を1行書いただけだった。たった1行で、毎朝の30分が返ってきた。これはちょっとズルい。


    関連リンク


  • Live Artifacts ー 毎朝同じ質問していた私の、卒業記念日

    Live Artifacts ー 毎朝同じ質問していた私の、卒業記念日


    つまりこういうこと

    毎朝、私は同じ作業をしていた。Coworkを開く。Gmailコネクタにつないで「未読のうち、件名に『請求書』が入っているものを教えて」と打つ。出てきたリストをメモ帳に貼る。Slackコネクタに切り替える。「昨日以降、自分宛のメンションある?」と打つ。出てきた結果をさっきのメモ帳に追記する。最後にスケジュールタスクの状況を聞いて、メモ帳の下に並べる。

    これを4月の頭からずっと続けていた。実時間にして毎朝7分。週で35分、月で2時間半。「これ自動化できないんですか」と何度もClaudeに聞いて、そのたびに「スケジュールタスクで毎朝メールに送ることはできますよ」と言われ、「メールで届くと結局Gmailを開くから、Coworkで開きたいんですよ」と返して、平行線。Live Artifactsという機能が4月20日に出ていたことを、私はその2週間後の今朝、ようやく知った。先に言っておくと、私が3週間ぶん損していた話である。


    結論マップ(ビフォー/アフター)

    場面これまでLive Artifactsを知った後
    朝の確認作業Coworkで毎朝3つのコネクタに同じ質問を投げ直す1ページを開くだけ、自動で再取得される
    結果の保存メモ帳に手で貼って、昨日のぶんは消える永続HTMLとして残り、セッションをまたいで再オープンできる
    カスタマイズ「並び替えて」と毎回お願いするフィルタや並び順は localStorage に記憶されて、次に開いても残る

    要約すると、「一度しか使わない回答」が「再利用できるダッシュボード」に化ける機能だった、ということだ。3週間ぶんの平行線、いま回想すると恥ずかしい。


    要するに何ができるか

    Live Artifactsは、Coworkが作ってくれる 「永続するHTMLページ」 のこと。普通のチャット回答との一番の違いは、開きなおすたびに、つないでいるコネクタから最新データを引っ張ってきて自分で再描画する点にある。

    公式ヘルプセンター(support.claude.com)の説明を私の言葉でまとめ直すとこうなる。Coworkに「毎朝のチェック用ダッシュボードを作って」と頼むと、ClaudeはMCP(Model Context Protocol、ClaudeとGmail・Slack・Notionなどをつなぐ共通規格)の許可されたコネクタにアクセスして、HTMLとJavaScriptが詰まった単一ページを生成する。そのページは Coworkの中に保存され、サイドバーから何度でも再オープンできる。再オープンするたびに、HTML内のJavaScriptがコネクタを叩き直し、画面の数字や一覧が更新される。

    つまり、一回限りの「答え」ではなく、そのまま使えるツールが手元に残るということだ。今までのチャット回答は、優秀なバイト君に毎朝「同じ仕事を頼む」状態だった。Live Artifactsは、その仕事を1ページの紙にまとめて壁に貼って、データの部分だけが毎朝勝手に書き換わる ー そういう違いがある。たとえはちょっと変だが、二宮金次郎の像が毎朝勝手に違うページの本を読んでいる、みたいな話で、「そこにいてくれる」のが地味にありがたい。

    💡 覚えておきたい1点:Live Artifactsは「中の処理」が動くページなので、つなぎ先のコネクタが切れている/権限が外れていると、開いても空っぽになる。これは後の「ここで止まった」で詳しく書く。


    とりあえずやってみる

    セットアップは、設定ファイルを書く系の作業ではなく、Coworkに普通に頼むだけだった。拍子抜けするくらい短い。

    1. Coworkを開いて、新しいセッションを始める(既存のセッションでも動くが、最初は混乱を避けるため新規がおすすめ)
    2. つなぎたいコネクタ(Gmail、Slack、Calendarなど)が「接続済み」になっていることを確認する。MCPの一覧画面でコネクタ名の横に緑のチェックが出ていればOK
    3. 「毎朝チェック用のLive Artifactを作って。Gmail(未読件数)・Slack(メンション)・スケジュールタスク(次の起動予定)を1ページにまとめて。」のように、何を・どのコネクタから・どう並べたいかを1メッセージで伝える
    4. Claudeが下書きを生成し、サイドバーに「Open Artifact」ボタンが出る。これを押すと別パネルでHTMLページがレンダリングされる
    5. 1回目のオープン時に、各コネクタへのアクセス許可が確認される。「Approve」を押すと以降は自動取得(次回以降は許可不要)

    「何を・どのコネクタから・どう並べたいか」を最初から一文で伝えるのが一番のコツだった。私は最初これを「Gmailの未読を見せて」と短く頼んでしまい、ただの一回限りのリストが返ってきて「あれ、永続化されてない」と慌てた。Coworkにとって「ライブアーティファクトとして作って」というキーワードが入っているかどうかは、要件の重みになる。


    実際に打ったプロンプト

    私が今朝、最終的に動いた状態にたどり着いたプロンプトはこれだ。コピペして自分の用途に合わせて書き換えて使ってほしい。

    毎朝チェック用の Live Artifact を作ってください。
    【含めるもの】
    1. Gmail:未読のうち、件名に「請求書 / invoice / 領収書」を含むスレッドを上から5件
    2. Slack:直近24時間で自分宛のメンションを上から10件(スレッド名・送信者・本文の冒頭60字)
    3. スケジュールタスク:次に起動予定のタスク名と起動時刻を3件
    【表示の希望】
    - 1ページ縦並び、各セクションに見出しをつける
    - 件数が0件のセクションは「なし」と1行だけ表示
    - ページ上部に最終取得時刻を「YYYY-MM-DD HH:mm:ss」形式で表示
    - 並び順の好み(新しい順/古い順)は localStorage に記憶し、次回開いた時に復元
    【外部ライブラリ】
    - Grid.js を使ってよい(テーブルの並び替え用)
    - それ以外のCDNは不要
    ボタンや派手な装飾は要りません。シンプルなテキストとリストで。

    💡 コツ:「ライブアーティファクトとして作って」と明示するのと、要件をブロックごとに区切って書くのがポイント。フリーフォーマットで頼むと「一回限りの整形済みリスト」を返してくることがあって、それは Live Artifact ではない。

    うちの環境ではこれで一度で通った。プロンプトが長く感じるかもしれないが、毎朝7分かかっていた作業を一度きりの2〜3分の入力で永久に置き換えられると思えば、たぶん人類で一番割の良いタイピングだ。


    ここで止まった

    私が3週間損していたのには、それなりの理由がある。実際にやってみて、躓いたポイントを順に書いておく。

    • コネクタが繋がっていないと「ただのHTML」になる: 1回目に開いたとき、Slack部分だけ真っ白だった。理由はSlackコネクタが先週外れていたのに気づかず、再接続せずに作ってしまったから。Live Artifacts自体はちゃんと作られているのだが、中身を取りに行くMCPの先が無い、という状態。コネクタの接続状態は作る前にMCP一覧画面で点検しておくと事故が減る。これは私の落ち度で、Coworkは何も悪くない
    • 使えるCDNライブラリが3つに限定されている: 公式ヘルプを読み返したら、Live Artifacts内から外部読み込みできるのは Chart.js・Grid.js・Mermaid の3つだけだった。私は最初「D3.jsで凝ったグラフを」と言ってしまって、「使えないよ」とClaudeに止められた(その場で素直に止めてくれて助かった)。CSSやJSの自前コードはインラインで書くぶんには制限なしだが、CDN読み込みはこの3択。過剰な期待をしないほうが、生成速度も安定する
    • localStorage 以外のブラウザストレージは使えない: フィルタや並び順を覚えてほしい場合は localStorage を使う、と書いておけば動く。ただし sessionStorage ・IndexedDB ・Cookieはサポート外で、書いてもらっても動かない。私は一度「Cookieに保存して」と頼んでしまい、見た目は動くのに次回開くと忘れている、という現象に遭遇した(サンタを信じない子どもみたいで悲しかった)
    • 「Open Artifact」を押し忘れる: 一番くだらない躓きだが、私は最初、Coworkのチャット欄に出てきた「Open Artifact」ボタンを押さずに、そのページが普通のチャット返答だと思って閉じてしまった。Live Artifactsは専用のサイドパネルでレンダリングされて初めて中のJavaScriptが動く。チャット欄に見えているのは、ただの予告編である

    3行でまとめると

    Live Artifactsは、「毎日同じ質問をしていた作業」を一回の依頼でページに固定できる機能。コネクタにつないだ最新データを、開きなおすたびに自分で取り直す ー そういう仕組みのHTMLが、Cowork内に残る。永続するから、ブラウザを閉じても明日も明後日も同じ場所から開ける。

    「同じ質問を3回した時点で、これライブアーティファクト化できないか?」と疑うクセを、まずつけたい。3週間ぶん損した私からのお願いである。チャット回答が消えていく流れ星なら、Live Artifactsはずっと光っている街灯みたいなもので、毎朝の足元を照らしてくれる方が、どう考えてもありがたい。


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  • auto-memory ー 私の口癖、勝手に覚えていてくれた

    auto-memory ー 私の口癖、勝手に覚えていてくれた


    気づいたら使ってた

    同じ説明を3回した。「Windows 使ってます」「PowerShell で動かしたいです」「日本語でお願いします」。テンプレ自己紹介、もはや営業の名刺交換みたいでした。4回目の朝、私がまだ何も言ってないのに、Claude が PowerShell コマンドを並べて出してきた。何これ、誰が教えた。下手な探偵より私のことを知っている。トースターが昨日のこんがり度を覚えていたような、ちょっと嬉しいけれど不気味さもある朝でした。


    結論マップ(ビフォー/アフター)

    並べてみると、昨日までの自分がちょっと気の毒です。

    項目auto-memory なし(私の昨日まで)auto-memory あり(私の今)
    自分のプロフィール会話の冒頭で毎回口頭で説明1回言えば次回から覚えている
    プロジェクトのクセ毎回 CLAUDE.md に追記Claude が適宜 markdown に保存
    「前にこう言ったよね」履歴を遡って自分で探すClaude が勝手に持ち出してくる

    要するに何ができるか

    auto-memory(オートメモリー)は、Claude がセッションをまたいで「あなたとの会話で得た学び」を自分で markdown ファイルに書き残してくれる機能です。専門用語に翻訳すると「セッション間でユーザー固有情報を永続化する仕組み」、人間の言葉に翻訳すると「私の口癖と好みを Claude が勝手にメモる」。後者のほうが10倍わかりやすい、と書きながら思いました。Claude Code v2.1.59 以降は最初から ON で、プロジェクトごとに ~/.claude/projects/<project>/memory/ 以下に保存されます。中身はぜんぶ markdown なので、私が直接読めるし、編集も削除もできる。「AIに記憶される」と聞いたとき頭に浮かんだ、何かこう、暗号化された謎ファイルみたいなものは一切なし。拍子抜けするくらい開けっぴろげです。

    💡 「全部 markdown」というのが地味に効く。AI が裏でこっそり何か覚えているのではなく、フォルダを開けば全部見えるところに置いてある。怖さの正体は「見えないこと」だったんだなと、覗いてみて気づきました。


    とりあえずやってみる

    1. ターミナルで claude --version を実行し、バージョンが v2.1.59 以上 か確認する(古ければ npm install -g @anthropic-ai/claude-code で更新。私はここで更新を3日先延ばしにした人間です)
    2. Claude のセッション内で /memory と打つ
    3. 表示されるメニューで「Auto memory」が ON になっていることを確認する(デフォルト ON。ここでオフにしたら振り出しに戻ります。人生ゲームみたいですね)
    4. あとは普通に会話する。私の好み・作業習慣・つまずきパターンを Claude が「これは次回も役立ちそう」と判断したときだけ自動で保存する。判断は Claude 任せです。「これも覚えて!」と叫んでも基本スルー(経験談)
    5. 数日経ったらもう一度 /memory を開いて、Auto memory フォルダの中身を覗く。ここで自分の口癖と再会します

    こう書いたら動いた

    ある朝、何気なく ~/.claude/projects/my-recipe-app/memory/ を覗いたら、こんなファイルが転がっていました。私は頼んでいない。Claude が勝手に書いていた。プライバシーの侵害だと思ったけど、内容を見たら正論しか書かれていなかったので何も言えなくなりました。

    ---
    name: User PowerShell preference
    description: ユーザーは Windows + PowerShell ユーザー
    type: feedback
    ---
    ユーザーは PowerShell をメインシェルとして使用している。
    bash や zsh の構文を提示するたびに「PowerShell で書き直して」と依頼されるため、
    ターミナルコマンドは最初から PowerShell 構文で提示すること。
    例:
    - NG: `ls -la`
    - OK: `Get-ChildItem -Force`

    💡 私の3回分の小言が、フィードバック型のメモにきれいにまとまっていた。鳥肌が立ったというより、上司にこっそり手帳を覗かれた気分でした。でもこの上司、メモを取っておいてくれるおかげで明日の私の朝食の手間が減る。許す。


    私が間違えたこと

    • 「これ覚えて」と言えば全部覚える、ではない: Claude が「次回も使えそう」と判断したものだけが保存されます。完璧な秘書ではなく、ややマイペースなメモ魔の同僚に近い。覚えてほしいなら明示的に「これメモしておいて」と頼むほうが確実です。私は「絶対忘れないで!」と3回叫んで、3回ともスルーされました
    • 記憶は勝手に消えない: markdown ファイルはユーザーが消すまで残ります。半年前の古い情報を Claude が信じて間違ったコマンドを出してくることもあるので、月に1回はフォルダを覗いて掃除する。冷蔵庫の奥のタッパーと同じです
    • CLAUDE.md と auto-memory を混同しない: CLAUDE.md は私が手で書く「ルール」、auto-memory は Claude が自動で書く「学び」。書き換える場所を間違えると、せっかくのメモを上書きしてしまう。役割分担、ここ大事です(試験に出ます)

    使ってみての正直な感想

    同じ説明を3回繰り返している自分に気づいたら、auto-memory が動いているか覗いてみる価値があります。私はもう「Windows です、PowerShell です、日本語で」のテンプレ自己紹介を毎朝しなくて済むようになりました。ボルヘスの「フネス」みたいに何でも覚えていたら逆に動けなくなりそうですが、Claude の auto-memory は「忘れる」ほうも上手です——本当に必要なものだけ拾ってくれる。怖いと思っていた「AIに記憶される」も、フォルダを開けば全部 markdown で見えるとわかった瞬間、急に気が楽になりました。秘密にされるより、見えるところに置いてくれるほうがずっと信用できる。下手な探偵に追われる気分から、有能な秘書を雇った気分に、3週間で進化した話でした。


    関連リンク

  • Cowork・Claude Code・Codex の関係を「提供形態×提供元」の2×3で整理する

    Cowork・Claude Code・Codex の関係を「提供形態×提供元」の2×3で整理する

    何で混乱したか、を最初に書いておく

    私は Anthropic の Claude Max 5x プランで Cowork を中心に作業している。元々は Antigravity 経由で ChatGPT を触っていたので、OpenAI 側のコーディングエージェントの最近の動きにも一応うっすら興味はある。

    ところがある日、SNS で「Codex のアプリ版で computer use が来た」「Codex CLI でサブエージェントが動いた」「Cowork と Codex は思想が似てる」みたいな話が同時に流れてきて、頭の中が 「Cowork / Claude Code / Codex(アプリ版)/ Codex」の4つの名前で渋滞した。「Co」が3つ、「Codex」が2回、初心者には早口言葉だ。

    最初は「4つの呼び名で混乱した」という整理を書こうとしたが、調べていくうちに、実態は4つではなく「アプリ / CLI / IDE 拡張」の3形態 × 「Anthropic / OpenAI」の2社 = 6つの窓口だと分かった。「Codex」というブランドが傘になっていて、その下に App・CLI・IDE 拡張という具体的な窓口が並んでいる。一方で Anthropic 側も Claude Code は CLI と VS Code 拡張という2つの窓口を持っている。並べる粒度を「窓口」に揃えると、両陣営が綺麗に対称になる。

    そこで本記事は、2×3マトリクスでこの関係を整理する。私が触れた経験があるのは Cowork と Claude Code(CLI・IDE 拡張ともに)だけで、Codex 系3つは公式ドキュメントを読んだ範囲の話に限定する。


    2×3 マトリクス(提供形態 × 提供元)

    最初に全体図。横が提供元、縦が提供形態。「自分はどこで AI に作業してほしいか」で読み下せば、1セルに辿り着けるようにしてある。

    AnthropicOpenAI
    GUI デスクトップアプリ系Cowork(Claude デスクトップアプリの作業モード)Codex(アプリ版)(macOS / Windows のデスクトップアプリ)
    ターミナル CLI 系Claude Code CLI(claude コマンド)Codex CLI(codex コマンド・OSS)
    IDE 拡張系Claude Code VS Code 拡張(公式)Codex IDE 拡張(VS Code / Cursor / Windsurf 等)

    読み方のコツ:同じ行のセル同士は「狙っている使い方が近い」。同じ列のセル同士は「同じ会社が提供する別フロントエンド」。Anthropic 側の CLI と IDE 拡張は同じ Claude Code エンジンの2窓口で、OpenAI 側の Codex CLI と Codex IDE 拡張も同じ Codex エンジンの2窓口だ(公式ドキュメントでも「IDE 拡張は CLI と同じエージェント・同じ設定を共有」と明記されている)。


    詳細比較表(観点 × 6製品)

    縦軸を観点、横軸を6製品にして並べる。情報量は多いが、後の解説が読みやすくなるように先に置く。

    観点CoworkClaude Code CLIClaude Code VS Code 拡張Codex(アプリ版)Codex CLICodex IDE 拡張
    提供元AnthropicAnthropicAnthropicOpenAIOpenAIOpenAI
    起動入口デスクトップアプリターミナルVS Code サイドバーデスクトップアプリターミナルVS Code / Cursor / Windsurf 等
    動作環境macOS / WindowsmacOS / Linux / WindowsVS Code が動く環境macOS(2026-02-02〜)/Windows(2026-03-04〜)macOS / Linux / WindowsmacOS / Linux(Windows は実験的)
    主な対象ユーザー知識労働全般(非エンジニア含む)開発者開発者(ターミナル不慣れも可)開発者中心、最近は知識労働へ拡張開発者開発者
    必要なプランPro / Max / Team / Enterprise(全有料プランで一般提供)Pro / MaxPro / MaxChatGPT Plus / Pro / Business / Enterprise / Edu同上(OSS なので API キーでも可)同上
    computer usePro / Max で利用可対象外対象外2026-04-16 アップデートで搭載対象外対象外
    配布形態クローズドソースクローズドソースVS Code MarketplaceクローズドソースOSS(Rust 製)VS Code Marketplace 等

    補足:Cowork は Pro / Max が 2026-01-16、Team / Enterprise が 2026-01-23 にそれぞれ research preview で開始され、その後すべての有料プランで一般提供(GA)に移行している。Codex(アプリ版)の Windows 版は 2026-03-04 から Microsoft Store 経由で配布されている。


    行ごとの解説(同じ提供形態の2社並び)

    GUI デスクトップアプリ系:Cowork / Codex(アプリ版)

    Cowork(Anthropic)は Claude デスクトップアプリの中で動く作業モード。指定したフォルダの中身を読み・書き・作り、Claude がローカル PC で複数ステップのタスクを最後まで仕上げる。コーディングに限らず、リサーチ・資料作成・ファイル整理など知識労働全般が想定されている。Pro / Max / Team / Enterprise の全有料プランで一般提供されており、Pro / Max では画面操作(computer use)も渡せる。

    Codex(アプリ版)(OpenAI)は macOS は 2026-02-02、Windows は 2026-03-04 から提供されているデスクトップアプリ。「複数のエージェントを並列管理するコックピット」という位置づけで、コードを書く窓口というよりはエージェント運用の母艦に近い。2026-04-16 のアップデートで computer use・画像生成・メモリ・90 種以上のプラグインが乗った。

    比較:両方とも GUI で、computer use を持ち、知識労働方向への拡張が起きている点が似ている。一方で Cowork は「1人の Claude に作業を任せる」一体感、Codex(アプリ版)は「複数エージェントを並列に走らせるダッシュボード」というメンタルモデルで、同じ GUI でも操作感はけっこう違うように公式ドキュメントからは読める。

    ターミナル CLI 系:Claude Code CLI / Codex CLI

    Claude Code CLI(Anthropic)は claude コマンドで起動するターミナル UI。現在のディレクトリを読み込み、コードの編集・実行・git 操作などを自然言語で頼める。Pro / Max プランの利用枠が Claude(ウェブ)と共有される。

    Codex CLI(OpenAI)は codex コマンドで起動する Rust 製・OSS のターミナル UI。GitHub openai/codex で公開されている。ChatGPT Plus 以上のサブスクで認証する以外に、API キーで認証することもできる。

    比較:両方ともターミナルでコードを書きたい開発者向け。Codex CLI が OSS、Claude Code CLI がクローズドソースという配布の違いは、トラブル時の追跡やカスタム改造の余地という点で性質が違う。プラン要件はどちらも「自社のサブスクに含まれる」形で、追加課金なしで使える。

    IDE 拡張系:Claude Code VS Code 拡張 / Codex IDE 拡張

    Claude Code VS Code 拡張(Anthropic)は VS Code の Marketplace で配布されている公式拡張。サイドバーで Claude を呼び出して使え、内部に CLI が同梱されているため、ターミナル不慣れでも GUI の感覚で Claude Code を扱える。公式ドキュメントは「VS Code を使うなら拡張が推奨」というスタンス。

    Codex IDE 拡張(OpenAI)は VS Code・Cursor・Windsurf など VS Code 系エディタ向けの拡張。CLI と同じエージェント・同じ設定を共有することが明記されている。macOS / Linux で正式対応、Windows は実験的扱い、と公式ドキュメントに書かれている。

    比較:両方とも「同じエンジンの IDE 内フロントエンド」という位置づけ。Anthropic 側は VS Code 一本、OpenAI 側は Cursor・Windsurf も含む VS Code 系エディタを広めにカバーしている。IDE 派ならそれぞれの拡張を入れるのが定番という点では性質が一致している。


    列ごとの解説(同じ会社の3窓口は何が共通か)

    Anthropic 側(Cowork / Claude Code CLI / Claude Code VS Code 拡張)

    3つは Pro / Max プラン1本に含まれる。Cowork とウェブ Claude と Claude Code は使用量枠が共有されているので、私のように Cowork で重い処理を回した日は CLI 側にも影響が出る、というのは Pro / Max ユーザーが知っておきたい挙動だ。

    3つの分け方は 「フォルダ単位の作業 = Cowork」「リポジトリ単位のコード作業 = Claude Code(CLI / IDE 拡張)」 という方向性で読める。Cowork は知識労働全般、Claude Code はコーディング寄り、というのが Anthropic 側の役割分担。

    OpenAI 側(Codex App / Codex CLI / Codex IDE 拡張)

    3つは 同じ ChatGPT アカウントで連携する。CLI で始めた会話を IDE で続けたり、ローカルから Cloud にタスクを投げて結果を IDE に戻したり、という横断利用が前提になっている。「Codex」はこの3つを束ねるブランド名で、傘の下に具体的な窓口が並んでいる構造。

    ChatGPT Plus / Pro / Business / Enterprise / Edu の各サブスクに Codex 全体が含まれているため、ChatGPT を持っている人は追加契約なしで全窓口に触れる。Codex CLI だけは OSS なので、API キー単独でも導入できるという余地もある。


    どれが何のとき役立つか

    私は6つ全部を実利用しているわけではないので、ここは 公式の説明によれば という前置きで書く。実体験があるのは Cowork と Claude Code(CLI / IDE 拡張)だけ。

    Cowork(実体験あり)

    PC のなかにあるファイルを使って、ChatGPT のチャットでは閉じない仕事をやり切ってほしいとき。私の場合、ブログのドラフト整形、Excel の差分比較、フォルダの整理などを頼んでいる。指示を出して別の作業をして戻ると成果物ができている、という非同期の動き方が好みなら相性がいい。

    Claude Code CLI(実体験あり)

    ターミナルから直接コードに触りたいとき。git の操作・テストの実行・リポジトリ全体を把握しての修正などをやらせたいとき。Pro / Max プランがあれば追加課金なしで使えるので、開発初心者の私も「とりあえずインストールして触る」ハードルが低かった。

    Claude Code VS Code 拡張(実体験あり)

    ターミナルが苦手な人、または VS Code をすでに常用している人向け。サイドバーに Claude を呼び出せるので、ファイルを開きながら自然に対話できる。私は CLI と拡張の両方を試したが、コードの選択範囲を渡せるのは拡張側の便利さで、ちょっとした修正なら拡張のほうが手数が少ない。

    Codex(アプリ版)(公式情報のみ)

    複数のエージェントを並列で走らせたい、PC 上で computer use にも触らせたい、画像生成とコード生成を一画面でやりたい、あたりが公式が押し出しているユースケース。Cowork と射程が重なる方向に動いている。私はまだ実機で動かしていないので、ここは公式説明をそのまま信じている段階。

    Codex CLI(公式情報のみ)

    ChatGPT のサブスクを既に持っている人で、ターミナルから OpenAI のエージェントを呼びたい場合。OSS なので導入だけならハードルは低く、API キー認証もある。私のように現在 Anthropic 側に寄せている人間でも、Codex CLI 単体だけ試してみる、という軽い検証が成立しやすい。

    Codex IDE 拡張(公式情報のみ)

    VS Code・Cursor・Windsurf を常用している開発者向け。CLI と同じエンジン・同じ設定を共有するので、CLI と拡張の併用も自然に成立する、と公式に書かれている。


    6つを使い分ける視点(誤発注しないために)

    料金体系の違いはざっくり「Anthropic 側は Claude Pro / Max のサブスクに Cowork も Claude Code も(CLI も拡張も)含まれる」「OpenAI 側は ChatGPT Plus 以上のサブスクに Codex 3兄弟が含まれる」という構造になっている。追加で Codex を契約しないと触れない、という構造ではない点が、両陣営に共通する誤発注ポイントだと思う。

    誤期待の整理として、「Cowork と Codex(アプリ版)は computer use があるから同じ」と早合点しないこと。同じ概念の機能でも、PC 上のどのアプリに対して、どの程度の権限で動くかは細部が違う。私のように非エンジニアで computer use に「自動化の最後の一歩」を期待する側からすると、まず公式ドキュメントの権限・制限事項を読んでから手を出したほうが事故が少ない。料理人にとっての包丁選びと同じで、見た目で似ていても刃の角度で別物だ。

    両方使うのもアリ:Anthropic と OpenAI の両方を契約する人は実在するが、私の Max 1 プラン前提では普段づかいは片方に寄せるのが現実的。Anthropic 側で困ったときの逃げ道として Codex CLI(OSS)に少し触っておく、くらいの距離感が私にはちょうどいい。


    生産的なプロンプト例(6つすべてに応用できる粒度で)

    両陣営に共通して効く「初心者の指示の出し方」を1つだけ載せておく。架空の家計簿アプリ開発を想定した指示で、Cowork でも Claude Code(CLI / IDE 拡張)でも Codex 3兄弟でも、考え方は流用できる。

    このフォルダの "expenses_2026.csv" を読み込んで、以下を順にやってください。
    1. 月別の支出合計を集計し、Markdown の表にまとめる
    2. 前月比 +20% を超えたカテゴリには ⚠ を付ける
    3. 結果を summary_2026-04.md として同じフォルダに保存する
    4. 集計に使ったコードは scripts/aggregate.py に分離して保存する
    5. 最後に「次にやるとよさそうな分析」を3件、箇条書きで提案する
    

    ポイントは、ゴールを1個ではなく工程に分けて並べるところ。エージェント系は1ターンで複数ステップをこなすのが得意なので、「読み込み→集計→印付け→保存→分離→提案」のように動詞を並べると、人間とのやりとり回数が減って結果的に時短になる。料理に例えるなら「カレーを作って」より「玉ねぎを切って、炒めて、肉を入れて、煮込んで、皿に盛って」のほうが鍋のフタを開ける回数が減る、という話。


    まとめ

    6つを最後に1行ずつでまとめておく。

    • Cowork:Anthropic、GUI、知識労働全般
    • Claude Code CLI:Anthropic、ターミナル、コーディング
    • Claude Code VS Code 拡張:Anthropic、IDE、コーディング(GUI 派にも)
    • Codex(アプリ版):OpenAI、GUI、複数エージェント運用
    • Codex CLI:OpenAI、ターミナル、OSS
    • Codex IDE 拡張:OpenAI、IDE、CLI と同エンジン

    混同を避けるコツは、「アプリ / CLI / IDE 拡張」という3つの提供形態軸を最初に立てること。同じ会社の窓口は内部的に近い親戚で、同じ提供形態どうしは別会社でも狙いが似ている。Anthropic と OpenAI を「2社 × 3形態 = 6窓口」のマトリクスとして眺めると、自分の使い方がどのセルに刺さるかが見えてくる。

    開発経験ゼロの私から見ても、両陣営とも「1本のサブスクで使える窓口を増やす」方向に動いているのは間違いなさそうで、しばらくはどちらに寄せても困らない時代に入っている。私はまず Cowork と Claude Code を使い倒すのが先になるけれど、地図だけは整えておくと、いざ片足踏み出すときに迷子にならない。整理整頓は事前にやるに限る。「備えあれば憂いなし」とはよく言ったもので、こういう地図づくりこそが開発経験ゼロの人間にとっての杖になる気がしている。


    参照した一次情報

  • Chat / Cowork / Code、それぞれ「新しく作る」タイミング ー 1つに全部詰めて、Claude を混乱させてた

    Chat / Cowork / Code、それぞれ「新しく作る」タイミング ー 1つに全部詰めて、Claude を混乱させてた

    「同じセッションで全部やったら、Claude が話題を見失った」

    ある日、ひとつの Cowork セッションで「英文メールの和訳 → Excel の整理 → 架空のスクリプトの修正」と立て続けに頼んでみた。詰め込みすぎたお弁当箱みたいなセッションです。
    3つ目に入ったあたりで、Claude が「先ほどのメールの件についてですが…」と、もう関係ない最初の話題を引っぱり出してきた。「先ほどの……って何ですか(こちらは Excel の話をしている)」。

    最初は「Claude が壊れたのかな」と思った。違いました。Claude は壊れてなくて、私が1つの場所に荷物を詰めすぎただけだった。要するに、引っ越し前日の段ボール状態です。何が入っているか、自分でも把握できていない。

    Cowork のサイドバーには「Chat」「Cowork(New task / セッション)」「Code」という3つの入口があり、それぞれ何を覚えているか(コンテキスト)が違う。新しい話を始めるたびに「これは続きにすべきか、新しく作るべきか」を判断するクセを付けてから、誤動作がぐっと減った。「クセを付けた」と書きましたが、実態は「やらかした回数だけ学んだ」です。


    なぜ「新しく作る」を意識するのか

    Claude は会話を続けるほど、その会話の中身を覚えていく。便利なんだけど、過去の話題が混ざると判断がブレる。便利の裏には、たいていトレードオフがいる。
    たとえば「Excel ファイル A」を読み込ませた直後に「画像を生成して」と頼むと、Claude は「Excel に貼る用の画像かな?」と勝手に推測してしまうことがある。気を利かせてくれているんですが、こっちは普通に SNS のアイコンを作りたかっただけです。私はこれを「コンテキストの引きずり」と呼んでいる(命名するほどには遭遇している)。

    加えて、長い会話はトークン(Claude が一度に扱える文章量の単位)を食う。動作も重くなるし、料金もかさむ。お腹いっぱいの Claude は、判断もちょっと鈍る——そんな気がしている。話題が変わったら新規にする、というのは「自分のためでもあり、Claude のためでもある」操作になっている。たぶん Claude も、毎回まっさらな机で仕事を始めたいはず。


    3種類 × 新規作成すべきタイミング

    ここで一旦整理。「だから何を、いつ新しくすればいいの?」という話を表にしました。

    種類主な使い道コンテキストの中身新しく作るべきタイミング
    Chat質問・即答・短文生成そのチャット内の会話履歴(必要に応じてチャット検索やメモリも参照される)。ファイル操作や MCP 連携は行わない話題が変わったら、迷わず新規。コストが軽いので「1質問1チャット」でも問題ない
    Cowork セッションファイル操作・MCP 連携・複数ステップ作業読んだファイル・実行したツール・出した結論対象プロジェクトやフォルダが変わるとき。失敗から始め直したいとき。長くなりすぎたとき
    Code セッションリポジトリ(=コードを置いてあるプロジェクトのフォルダ)単位のコーディングCLAUDE.md・git の状態・開いているリポジトリリポジトリを切り替えるとき。ブランチ運用で文脈が大きく変わるとき

    💡 補足: Cowork セッションは作業を後で続けられる設計。同じテーマの追加作業なら新規にせず、続きから頼む方が記憶を再利用できて速い。「昨日の私の続き」を今日の Claude が拾ってくれる感じで、地味にうれしい。
    一方で別テーマを始めるときは、続きにせず新規にした方が安全。引き継がせると、たまに昨日の経費の話が顔を出してくる。


    判断フロー(私の3問チェック)

    迷ったら、上から順にチェックする。本当はもっと迷うべきなんですが、3問にしないと自分が動けないので3問にしました。


    1. 「直前の会話と同じテーマ?」
      YES → 続行。NO → 新規。
      翻訳の続きで翻訳を頼むなら続行、Excel の話を始めるなら新規。境目はけっこうハッキリしているので、迷ったら2問目へ。



    2. 「Claude が前提にしているファイル状態は、まだそのまま?」
      YES → 続行。NO → 新規。
      Excel の構造を大きく変えた、フォルダの中身を入れ替えた、などの後は新規にする。「さっきのファイル覚えてる?」と聞いた時点で、もう新規が正解だったりする。



    3. 「セッションが長くなりすぎて、自分でも何が話されたか追えない?」
      YES → 新規 or /compact で要約。NO → 続行。
      /compact は履歴を圧縮するスラッシュコマンド。完全リセットせずに重さだけ落とせる。要するに会話のダイエット機能です(例えが合っているかは別として)。



    同じ作業、続けるか・新規か

    例:朝、Excel に経費を整理してもらった。午後、別の作業として「ブログ記事の下書きを書いてほしい」と頼みたい。完全に午前と午後で別人格になりたい日です。

    そのまま続けるとどうなるか:

    午前のセッションで…
    私: Documents/領収書/202603/ の JPG を OCR して
    expenses.xlsx に追記して。
    Claude: 12枚処理しました。3枚は要確認です。
    午後、同じセッションで…
    私: ブログ記事の下書きを書いて。テーマはコンテキスト管理。
    Claude: かしこまりました。経費レポートを踏まえつつ、
    コンテキスト管理についての記事を…
    (← 関係ない経費を引っぱってきた)

    経費の話題が引きずられて、関係ない場所に出てくる。記事に「3枚は要確認です」とか出てきても困る。

    新規にすると:

    午後、新しいセッションで…
    私: ブログ記事の下書きを書いて。テーマはコンテキスト管理。
    Claude: 何文字くらいで考えていますか?想定読者は?
    (← まっさらな状態でヒアリングが始まる)

    「初対面の Claude さん、こんにちは」状態。これがいちばん仕事が早い。
    判断のクセが付くまでは「Claude が変な前提で答えてきた瞬間に、新規にし直す」を続けると、リズムをつかみやすい。最初は新規にし直しすぎて、逆に毎回ゼロから説明する事故も起きました。バランスです、何事も。


    つまずき

    ここからは、私が実際にやらかした話です。先輩の失敗談を聞くつもりで読んでください(先輩というには日が浅いですが)。

    • Code セッションで雑談を始めてしまう: Code セッションはリポジトリのコードを前提に話を聞く設計なので、関係ない雑談を続けると「このコードを直そうとしてる?」と勝手に解釈し始めることがある。雑談は Chat 側に逃がすのが安全です。Code セッションでお昼ごはんの相談をしてはいけない(やった)。
    • Cowork セッションを使い捨てにしてしまう: 1つで完結するつもりで始めたのに、後から続きが出てきて「あのセッション、どこだっけ」になりがち。これはまさにシュレーディンガーのセッション——開いてみるまで、どれが目当てのやつかわからない。終わったセッションは名前の頭に【完了】を付けておくと、続きを開きたいときに区別しやすい。
    • 「重いから新規」と「履歴がほしいから続行」が両立しないとき: 答えは /compact。会話を要約して短くしつつ、流れは保てる。完全に切るほどではない、というときの中間オプションとして覚えておくと便利。「離婚するほどじゃないけど、ちょっと距離を置きたい」みたいなときに使ってください(例えが重い)。

    まとめ

    私が新しく作るときの判断は、結局この3問。

    • 直前と同じテーマ? → 続行(違うなら新規)
    • Claude が前提にしてるファイル状態は今もそのまま? → 続行(変わったなら新規)
    • 重くなりすぎ? → /compact で軽量化、それでもダメなら新規

    Chat は気軽に新規、Cowork セッションは「テーマ単位」で新規、Code セッションは「リポジトリ単位」で新規。
    コンテキストは、引き継ぐと便利な資産にも、引きずると重荷にもなる。場所を変えてリセットするのは、Claude を混乱させないためというより、自分が混乱しないため、という気がしている。冒頭の段ボール状態に戻ると、結局困るのは荷物を詰めた本人なんですよね。


    関連リンク

  • docxスキル ー Word文書、頼んだら本当に出てきて拍子抜けした

    docxスキル ー Word文書、頼んだら本当に出てきて拍子抜けした

    始めるまでが全部

    「Word文書、Claudeに作ってもらえないかな」と思ったとき、私は反射的に Word を開いて自分で打ち始める癖があった。だってAIってチャットで「文章」を返してくるだけでしょ、と思っていた。違った。Claude には docx スキルというものがあって、頼めば本物の .docx ファイルを作って渡してくれる。会議のあとで議事録のたたき台を頼んだら、3秒後にダウンロードリンクが出てきて、本当に拍子抜けした。


    結論マップ(ビフォー/アフター)

    項目docxスキルを知る前docxスキルを知ったあと
    議事録の作成Wordを開いて1から手書き、30分「議事録のたたき台を作って」で.docxが出てくる、3分
    整形作業太字・見出し・箇条書きを毎回手で設定「見出し2レベル+箇条書きで」と頼むだけ
    渡し方Wordの内容をコピペでメールに貼る添付ファイルをそのまま転送

    何の役に立つのか

    docxスキルは、Anthropicが公式に配布しているClaudeの拡張機能のひとつで、Microsoft Word の文書ファイル(拡張子 .docx)を読み書きするためのものだ。スキル、と言われると身構えるが、ここでは「Claudeに『○○の機能』を追加する小さな取扱説明書」くらいに思えばいい。docxスキルが入っていると、Claude は「太字とは何か」「見出しスタイルとは何か」を知った状態で動き、Wordがちゃんと開ける形のファイルを作って渡してくれる。

    「文章生成」と「ファイル生成」は別物で、後者は地味に大変だ。Wordファイルは内部的にXMLという構造化された記述方式で書かれている。手書きでXMLを綴ることもできるが、タグの閉じ忘れひとつで Word が「ファイルが破損しています」と言って開かなくなる。docxスキルはこの面倒な部分を肩代わりしてくれる、と覚えておけば最初は十分だ。


    5分でできること

    私が初めて docx スキルを使ったのは、社内の業務マニュアルを Word でまとめる作業だった。流れだけ書いておく。Cowork モードで実行している。

    1. Cowork のチャットで「Word文書を作って」「マニュアルを.docxで出して」など、Word・docx という言葉を含めて依頼する(これでスキルが自動で呼ばれる)
    2. Claude が必要な情報を聞いてくる(タイトル・章立て・想定読者など)。AskUserQuestion で選択肢が出ることが多い
    3. 下書きが完成すると、チャット欄にダウンロードリンクが表示される
    4. そのまま Word で開いて、見出し・本文・箇条書きが整形されているか確認する
    5. 修正したい箇所があれば「2章を3つの小見出しに分けて」など、Word を開いたまま追加で頼む

    ポイントは、ステップ1で「Word」「docx」「Word文書」あたりの単語をきちんと入れること。ここを「文書を作って」だけにすると Claude はチャットの中にだらだら文章を書き出して終わってしまうことがある。鍵は単語にあった。


    私が使ったプロンプト

    3つだけ並べておく。実際にうちのチームで使っているもののニュアンスを残しているが、固有名詞はすべて架空のものに差し替えた。

    【プロンプト1:議事録のたたき台】
    Word文書(.docx)で議事録のたたき台を作って。
    タイトル:「2026年5月度 営業定例ミーティング」
    章立て:(1) 出席者 (2) 決定事項 (3) 次回までのToDo
    3章の表は2列(担当・内容)の3行で空欄を用意してください。
    【プロンプト2:社内マニュアル】
    Word文書で「経費精算の手順マニュアル」を作って。
    A4で3〜4ページ想定、見出し2レベルまで使用。
    冒頭に目次、各章の最後に「よくある質問」を箇条書きで2〜3個入れてください。
    【プロンプト3:依頼書テンプレート】
    取引先への依頼書テンプレートを.docxで作成してください。
    社名・担当者名・依頼内容・期日 の4フィールドはプレースホルダー
    (例:[社名])にしておいて、毎回差し替えて使えるようにしてください。

    💡 ポイント:「.docxで」と書くか「Word文書で」と書くと、スキルが確実に起動する。「ファイルにして」だけだとMarkdownや.txtが出てくることがあるので、形式は明示した方がいい。


    ここで止まった

    3週間ほど使ってみて、私が引っかかったのは次の3つ。

    • 「Word文書を作って」と言ったのに普通の文章が返ってきた: スキルは入っているのに起動していなかった。原因は「Wordっぽい文章を作って」と書いていたこと。「っぽい」を抜いて「Word文書を.docxで作成して」と直したら、ちゃんとファイルが出てきた。スキルの起動条件は意外とトリガー語に厳格だった。
    • 会社のテンプレが反映されない: 「うちの会社のフォーマットで」と頼んでも、Claude はうちの会社のフォーマットを知らない。テンプレ.docxを先にチャットに添付してから「これと同じ書式で別の章を追加して」と頼むやり方に切り替えたら、ようやく整った。スキル本体ではなく、与える材料の問題だった。
    • 表のセル数が合わなくてエラーになった: 「3列×4行の表を入れて」と頼んだら、ヘッダー込みかどうかの解釈で齟齬が出て一度ファイル生成が止まった。「ヘッダー1行+データ4行=合計5行で」のように行数を二重に明示すると、安定して通るようになった。

    使ってみての正直な感想

    「AIに資料を作らせる」と聞くたびに、私は「どうせ最後はWordに自分でコピペするんでしょ」と思っていた。docxスキルはその工程をなくしてくれた。完璧なものは出てこないけれど、白紙から始める負担は明らかに減った。0→30%のたたき台が3分で出てくる、というのが正味の体験だ。残りの70%は自分で書く。それでも、白紙の Word を眺めて固まる時間が消えただけで、毎回30分以上は得している。

  • 「Dispatch」をClaude Codeで実現する方法 ー 「公式機能じゃない」で諦めるの早い

    「Dispatch」をClaude Codeで実現する方法 ー 「公式機能じゃない」で諦めるの早い

    【お詫びと訂正】

    本記事には一部誤りがあった。Claude Code に Dispatch 相当の公式機能が存在しないという前提で書いていたが、実際には Anthropic が 2026年2月25日に「Claude Code Remote Control」を Research Preview として公開していた。執筆時点で見落としていた点をお詫びしたい。各手段の詳細と比較は後続記事「Claude Codeをスマホから操作する4つの方法を調べた」を参照してほしい。

    以下、当時の本文を記録としてそのまま残す。


    先に言っておく

    Claude Code(Anthropic が提供するターミナル向けの AI コーディングツール)のターミナルで /dispatch と打って、見事に何も起きなかった。
    Claude Cowork(デスクトップアプリ版)で話題になった「Dispatch」が、Claude Code でも当然使えるものだと思い込んでいた。実際には、/dispatch という公式スラッシュコマンドは存在しない。
    そっか、ないなら作ればいい。お弁当だって「外で売ってないから家で作る」を毎日やっている。今日はそれの IT 版。


    何の役に立つのか

    そもそも「Dispatch」は2026年3月に Anthropic が Claude Cowork 向けに発表した機能。スマートフォンから Claude にタスクを依頼でき、実行は自分のデスクトップ側で勝手に進む。結果は帰宅してから受け取る、という遠隔バトンタッチが成立する。飛脚も真っ青の分業制。

    ところが Claude Code(CLI 版)にはこの公式機能が存在しない。/dispatch も「dispatch」という名前の MCP(Model Context Protocol、Claude に外部機能を足す仕組み)も、リサーチプレビューを含めて公開されていない。

    💡 私は最初、Cowork の Dispatch と、コミュニティが作った Claude Code 用の dispatch スキルを「同じもの」だと勘違いしていた。実際には方向性も別で、前者は「スマホ→PCの遠隔指示」、後者は「メインの会話を軽くするためにサブエージェントへ仕事を回す」発想。名前が同じだとここまで紛らわしいとは思わなかった。


    それ、誰かが作ってませんでした?

    調べたら、Claude Code 用の dispatch というコミュニティスキルを GitHub で公開している人がいた。

    メインの会話を司令塔役にして、実際のリサーチや実装はサブエージェント(別の Claude が独立した会話の中で作業する仕組み)に丸投げする、という設計。コンテキストウィンドウ(Claude が一度に覚えていられる文章量の上限)を温存できるのが売りらしい。

    「自分で組むのは面倒」という人は、まずこのスキルを読むのが近道。インストール手順は別記事で扱う予定なので、今日は「世にこういうものが出回っている」という事実だけ握って先に進む。


    セットアップの全体像

    公式機能がなくても、Claude Code は部品を全部揃えてくれている。Anthropic 公式の @anthropic-ai/claude-agent-sdk(エージェントを作るための SDK、npm で配布されている公式パッケージ)を含め、組み合わせれば Dispatch っぽい挙動は手元で再現できる。役割は3つに分かれる。

    • サブエージェント ー タスクを切り出して、別コンテキスト(メインとは独立した会話空間)で動かす担当
    • フック(Hooks) ー サブエージェントの開始・終了を検知して、次の処理を自動で連鎖させる仕組み
    • スケジュールタスク ー 「指示は今、実行は後」の時間差を作る仕組み

    これを足すと「私は別のことをしていて、裏で勝手に分担が進んでいる」という Dispatch の本質が、Claude Code 単体で味わえる。料理でいうと、レンジ・オーブン・タイマーをそれぞれ仕掛けて、戻ってきたら全部できあがっているあのリズム。


    コピペして使える例

    ここからは実際にファイルを置いていく話。プロジェクトの直下に .claude/agents/ というフォルダを新しく作り、その中にサブエージェント定義ファイルを置く流れ。

    まず .claude/agents/researcher.md にサブエージェントを定義する(Markdown のフロントマターで書く形式)。

    ---
    name: researcher
    description: 指定したテーマの公式ドキュメントを読んで要点をまとめるエージェント
    tools: WebFetch, Read
    model: sonnet
    ---
    あなたはリサーチ専任のサブエージェントです。
    渡されたテーマについて、公式ドキュメントを優先して3点に要約してください。
    出力は Markdown の箇条書きで。
    

    次に .claude/settings.json にフックを書いて、サブエージェントが終わるたびにログを残す。

    {
      "hooks": {
        "SubagentStop": [
          {
            "matcher": "researcher",
            "hooks": [
              {
                "type": "command",
                "command": "echo \"researcher done at $(date)\" >> ~/dispatch.log"
              }
            ]
          }
        ]
      }
    }
    

    最後に scheduled-tasks(Claude のスケジュール実行機能)で「明日の朝7時に researcher を起動して結果を notes フォルダに保存する」を仕込めば、出かける前に予約 → 帰宅したら成果物がある、という Dispatch のリズムが再現できる。echo 1行でログを残しているだけなのに、ちょっと自動化マスターになった気がする。Hooks のいいところは、この勘違いを安く生産してくれること。

    💡 ポイントはサブエージェントが別コンテキストで動くこと。メインの会話をリサーチログで埋めずに済むので、結果として体感の作業効率が上がる。


    引っかかりやすいポイント

    • dispatch という名前の公式 MCP は存在しない: claude mcp add dispatch のような公式コマンドは通らない。スマホからの遠隔起動は Cowork 側の話で、Claude Code とは別物として整理する。
    • サブエージェントは Cowork の Dispatch と違って「常駐」しない: 起動するたびに新しい文脈で立ち上がるので、長期記憶を持たせたければ auto-memory(会話をまたいで情報を引き継ぐ自動記憶機能)か、ファイルに書き出して読ませる必要がある。記憶を持たないドリー(『ファインディング・ニモ』のあの魚)が毎回挨拶からやり直すあれ、と思っておけば事故が減る。
    • コミュニティスキルは公式サポート対象外: 不具合は GitHub の Issues で議論することになる。Anthropic 公式に問い合わせても答えてもらえないので、自己責任の精神で導入する。

    3行でまとめると

    Claude Code に「Dispatch」という公式機能はない。
    代わりにコミュニティスキルが GitHub にあり、自分で組むなら Agent SDK のサブエージェント+フック+スケジュールタスクで近い挙動が組める。
    次に /dispatch と打つときは、空打ちじゃなくて、ちゃんと自分で仕込んだエージェントが返事してくれる予定だ。


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