【お詫びと訂正】
本記事には一部誤りがあった。Claude Code に Dispatch 相当の公式機能が存在しないという前提で書いていたが、実際には Anthropic が 2026年2月25日に「Claude Code Remote Control」を Research Preview として公開していた。執筆時点で見落としていた点をお詫びしたい。各手段の詳細と比較は後続記事「Claude Codeをスマホから操作する4つの方法を調べた」を参照してほしい。
以下、当時の本文を記録としてそのまま残す。
先に言っておく
Claude Code(Anthropic が提供するターミナル向けの AI コーディングツール)のターミナルで /dispatch と打って、見事に何も起きなかった。
Claude Cowork(デスクトップアプリ版)で話題になった「Dispatch」が、Claude Code でも当然使えるものだと思い込んでいた。実際には、/dispatch という公式スラッシュコマンドは存在しない。
そっか、ないなら作ればいい。お弁当だって「外で売ってないから家で作る」を毎日やっている。今日はそれの IT 版。
何の役に立つのか
そもそも「Dispatch」は2026年3月に Anthropic が Claude Cowork 向けに発表した機能。スマートフォンから Claude にタスクを依頼でき、実行は自分のデスクトップ側で勝手に進む。結果は帰宅してから受け取る、という遠隔バトンタッチが成立する。飛脚も真っ青の分業制。
ところが Claude Code(CLI 版)にはこの公式機能が存在しない。/dispatch も「dispatch」という名前の MCP(Model Context Protocol、Claude に外部機能を足す仕組み)も、リサーチプレビューを含めて公開されていない。
💡 私は最初、Cowork の Dispatch と、コミュニティが作った Claude Code 用の
dispatchスキルを「同じもの」だと勘違いしていた。実際には方向性も別で、前者は「スマホ→PCの遠隔指示」、後者は「メインの会話を軽くするためにサブエージェントへ仕事を回す」発想。名前が同じだとここまで紛らわしいとは思わなかった。
それ、誰かが作ってませんでした?
調べたら、Claude Code 用の dispatch というコミュニティスキルを GitHub で公開している人がいた。
メインの会話を司令塔役にして、実際のリサーチや実装はサブエージェント(別の Claude が独立した会話の中で作業する仕組み)に丸投げする、という設計。コンテキストウィンドウ(Claude が一度に覚えていられる文章量の上限)を温存できるのが売りらしい。
「自分で組むのは面倒」という人は、まずこのスキルを読むのが近道。インストール手順は別記事で扱う予定なので、今日は「世にこういうものが出回っている」という事実だけ握って先に進む。
セットアップの全体像
公式機能がなくても、Claude Code は部品を全部揃えてくれている。Anthropic 公式の @anthropic-ai/claude-agent-sdk(エージェントを作るための SDK、npm で配布されている公式パッケージ)を含め、組み合わせれば Dispatch っぽい挙動は手元で再現できる。役割は3つに分かれる。
- サブエージェント ー タスクを切り出して、別コンテキスト(メインとは独立した会話空間)で動かす担当
- フック(Hooks) ー サブエージェントの開始・終了を検知して、次の処理を自動で連鎖させる仕組み
- スケジュールタスク ー 「指示は今、実行は後」の時間差を作る仕組み
これを足すと「私は別のことをしていて、裏で勝手に分担が進んでいる」という Dispatch の本質が、Claude Code 単体で味わえる。料理でいうと、レンジ・オーブン・タイマーをそれぞれ仕掛けて、戻ってきたら全部できあがっているあのリズム。
コピペして使える例
ここからは実際にファイルを置いていく話。プロジェクトの直下に .claude/agents/ というフォルダを新しく作り、その中にサブエージェント定義ファイルを置く流れ。
まず .claude/agents/researcher.md にサブエージェントを定義する(Markdown のフロントマターで書く形式)。
---
name: researcher
description: 指定したテーマの公式ドキュメントを読んで要点をまとめるエージェント
tools: WebFetch, Read
model: sonnet
---
あなたはリサーチ専任のサブエージェントです。
渡されたテーマについて、公式ドキュメントを優先して3点に要約してください。
出力は Markdown の箇条書きで。
次に .claude/settings.json にフックを書いて、サブエージェントが終わるたびにログを残す。
{
"hooks": {
"SubagentStop": [
{
"matcher": "researcher",
"hooks": [
{
"type": "command",
"command": "echo \"researcher done at $(date)\" >> ~/dispatch.log"
}
]
}
]
}
}
最後に scheduled-tasks(Claude のスケジュール実行機能)で「明日の朝7時に researcher を起動して結果を notes フォルダに保存する」を仕込めば、出かける前に予約 → 帰宅したら成果物がある、という Dispatch のリズムが再現できる。echo 1行でログを残しているだけなのに、ちょっと自動化マスターになった気がする。Hooks のいいところは、この勘違いを安く生産してくれること。
💡 ポイントはサブエージェントが別コンテキストで動くこと。メインの会話をリサーチログで埋めずに済むので、結果として体感の作業効率が上がる。
引っかかりやすいポイント
dispatchという名前の公式 MCP は存在しない:claude mcp add dispatchのような公式コマンドは通らない。スマホからの遠隔起動は Cowork 側の話で、Claude Code とは別物として整理する。- サブエージェントは Cowork の Dispatch と違って「常駐」しない: 起動するたびに新しい文脈で立ち上がるので、長期記憶を持たせたければ auto-memory(会話をまたいで情報を引き継ぐ自動記憶機能)か、ファイルに書き出して読ませる必要がある。記憶を持たないドリー(『ファインディング・ニモ』のあの魚)が毎回挨拶からやり直すあれ、と思っておけば事故が減る。
- コミュニティスキルは公式サポート対象外: 不具合は GitHub の Issues で議論することになる。Anthropic 公式に問い合わせても答えてもらえないので、自己責任の精神で導入する。
3行でまとめると
Claude Code に「Dispatch」という公式機能はない。
代わりにコミュニティスキルが GitHub にあり、自分で組むなら Agent SDK のサブエージェント+フック+スケジュールタスクで近い挙動が組める。
次に /dispatch と打つときは、空打ちじゃなくて、ちゃんと自分で仕込んだエージェントが返事してくれる予定だ。

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