知らなかった話
/clear を覚えてから1週間、私は毎朝「昨日の続き、もう一回ぜんぶ説明し直してます」をやっていた。プロジェクト名、ファイル構成、何をどこまで進めたか。Claude は素直に聞いてくれるけれど、私は3日目には「同じ口上、3回目です」と心の中で謝っていた。歌舞伎の口上ならいいけれど、こちらは技術相談である。
そんな私の前に /resume というコマンドがいた。「昨日のあれ、続きから」が、たった6文字で済む世界。先に言っておくと、知った瞬間、過去の自分の3日分の口上を返してほしくなった。
結論マップ(ビフォー/アフター)
| 場面 | これまで | /resume |
|---|---|---|
| 翌日の作業 | プロジェクト概要から再説明 | セッション選んで Enter |
| Claude の記憶 | 毎朝リセット | 前日の続きから接続 |
| 必要な情報 | 自分の記憶力に頼る | セッションIDかタイトル |
3行で済む。これを最初に貼ってほしかった、というセリフを、私は今月だけで何回言っただろうか。
要するに何ができるか
/resume は Claude Code(Anthropic がターミナル向けに出している AI コーディングツール)に標準搭載されている 過去のセッションを呼び戻すコマンド だ。打つと、過去のセッション一覧(インタラクティブセッションピッカー)が画面に出てきて、上下キーで選んで Enter を押せば、選んだセッションが「続き」として目の前に戻ってくる。
近い名前のコマンドに --continue(または -c)があるけれど、これは「直近のセッションを問答無用で続きから開く」ショートカットだ。一方 /resume は どのセッションから再開するかを選ばせてくれる 親切設計。前者が「とりあえず昨日の」、後者が「リストから今日の気分のやつを」、と例えると伝わるだろうか。Netflix で「続きを観る」のサムネイル一覧、と説明するのが一番近い気がする。
とりあえずやってみる
- ターミナルで
claudeを起動し、/resumeと打って Enter - インタラクティブピッカーが起動して、現在のフォルダ内のセッションが一覧表示される(新しい順)
- 上下キーでセッションを選ぶ。タイトル・最終更新時刻・メッセージ数がプレビュー表示されるので、目当てのものを探す
- Enter で確定すると、選んだセッションが続きから読み込まれる
- そのまま「昨日の続きで、〇〇を直したい」と打てば、Claude は前日の文脈を踏まえて返してくる(「今日は何を?」とは聞かれない)
私が使ったコマンド
架空の旅行アプリ「jp-vacation-planner」を Claude と一緒に設計していた、という設定で読んでほしい(実在しません。私は今のところ、近所の銭湯にしか出かけていません)。
> /resumeResumable sessions in /home/celcy/jp-vacation-planner: ▸ 2026-04-29 18:22 jp-vacation-planner 初期設計 Last: "次は予算入力フォームのバリデーションを追加する" Messages: 47 2026-04-28 21:05 jp-vacation-planner プロジェクト立ち上げ Last: "OK、まずはルート構成から決めましょう" Messages: 12[Enter] resume [↑↓] navigate [/] search [esc] cancel> (Enter で1番目を選択)Resuming session sess_8c4b... (2026-04-29 18:22)Loaded summary: jp-vacation-planner の初期設計セッション。47メッセージ。> 続きです。予算入力フォームのバリデーションから始めましょう。
💡 ポイント: セッションが大きすぎて全部読み直すと使用量を圧迫しそうな場合、Claude は「全文を読み直す代わりに要約から再開しますか?」と提案してくれる。長文ファイルを毎朝全部音読するわけじゃない、ありがたい配慮である。なお、
/resume検索ボックスに GitHub・GitLab などのプルリクエストURLを貼ると、そのPRを生成したセッションを探してくれる機能も2026年4月のアップデートで入った(これは便利すぎて、私は3回見直した)。
検索したいときは / を押すとフィルタが出るので、プロジェクト名や作業内容のキーワードで絞り込める。
最初で詰まった3つ
- 「
-cで十分じゃない?」と思ってスルーしていた:claude --continue(-c)は直近1件しか開かない。複数プロジェクトを同時並行している人は、3日前のあのセッションを呼び戻したいシーンが必ず出てくる。私はメモアプリと旅行アプリと家計簿を並行して相談していたので、毎朝「どれが直近だっけ」と賭けに出ていた。/resumeは賭けを終わらせてくれた - セッション内の「許可」だけ復元されない: 会話履歴は全部戻ってくるけれど、セッション中に与えた一時的なツール実行許可(
bash 実行を1回だけ許可など)は復元されない。再開後に同じ操作を頼むと「もう一度許可してください」と聞き直される。お辞儀は丁寧で気持ちがよい。びっくりしないこと - タブ補完で勝手に再開していた事故(修正済み): 2026年4月のアップデート前、
/resumeをタブ補完するとピッカーが出ずに任意のセッションがいきなり開いてしまう不具合があった。今は修正されているけれど、「あれ、何を選んだっけ」と感じたら、escで抜けてもう一度/resumeを打ち直せば安全
で、結局どうなの
/resume は 昨日の自分にバトンを渡すコマンド だ。/clear がリセットボタン、/compact が要約しながら続ける道具なら、/resume は「タイムマシンの行き先を選ぶ」コマンドである。
これを覚えてから、私は朝の口上を完全にやめた。Claude も「初めまして」を3回繰り返さされる日々から解放された(と勝手に思っている)。技術相談は続きものでよい、という当たり前のことに、私は1週間かけて気づいた。同じことに気づきかけている人がいたら、「6文字で済むよ」と先に言っておきたい。

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