つまりこういうこと
毎朝、私は同じ作業をしていた。Coworkを開く。Gmailコネクタにつないで「未読のうち、件名に『請求書』が入っているものを教えて」と打つ。出てきたリストをメモ帳に貼る。Slackコネクタに切り替える。「昨日以降、自分宛のメンションある?」と打つ。出てきた結果をさっきのメモ帳に追記する。最後にスケジュールタスクの状況を聞いて、メモ帳の下に並べる。
これを4月の頭からずっと続けていた。実時間にして毎朝7分。週で35分、月で2時間半。「これ自動化できないんですか」と何度もClaudeに聞いて、そのたびに「スケジュールタスクで毎朝メールに送ることはできますよ」と言われ、「メールで届くと結局Gmailを開くから、Coworkで開きたいんですよ」と返して、平行線。Live Artifactsという機能が4月20日に出ていたことを、私はその2週間後の今朝、ようやく知った。先に言っておくと、私が3週間ぶん損していた話である。
結論マップ(ビフォー/アフター)
| 場面 | これまで | Live Artifactsを知った後 |
|---|---|---|
| 朝の確認作業 | Coworkで毎朝3つのコネクタに同じ質問を投げ直す | 1ページを開くだけ、自動で再取得される |
| 結果の保存 | メモ帳に手で貼って、昨日のぶんは消える | 永続HTMLとして残り、セッションをまたいで再オープンできる |
| カスタマイズ | 「並び替えて」と毎回お願いする | フィルタや並び順は localStorage に記憶されて、次に開いても残る |
要約すると、「一度しか使わない回答」が「再利用できるダッシュボード」に化ける機能だった、ということだ。3週間ぶんの平行線、いま回想すると恥ずかしい。
要するに何ができるか
Live Artifactsは、Coworkが作ってくれる 「永続するHTMLページ」 のこと。普通のチャット回答との一番の違いは、開きなおすたびに、つないでいるコネクタから最新データを引っ張ってきて自分で再描画する点にある。
公式ヘルプセンター(support.claude.com)の説明を私の言葉でまとめ直すとこうなる。Coworkに「毎朝のチェック用ダッシュボードを作って」と頼むと、ClaudeはMCP(Model Context Protocol、ClaudeとGmail・Slack・Notionなどをつなぐ共通規格)の許可されたコネクタにアクセスして、HTMLとJavaScriptが詰まった単一ページを生成する。そのページは Coworkの中に保存され、サイドバーから何度でも再オープンできる。再オープンするたびに、HTML内のJavaScriptがコネクタを叩き直し、画面の数字や一覧が更新される。
つまり、一回限りの「答え」ではなく、そのまま使えるツールが手元に残るということだ。今までのチャット回答は、優秀なバイト君に毎朝「同じ仕事を頼む」状態だった。Live Artifactsは、その仕事を1ページの紙にまとめて壁に貼って、データの部分だけが毎朝勝手に書き換わる ー そういう違いがある。たとえはちょっと変だが、二宮金次郎の像が毎朝勝手に違うページの本を読んでいる、みたいな話で、「そこにいてくれる」のが地味にありがたい。
💡 覚えておきたい1点:Live Artifactsは「中の処理」が動くページなので、つなぎ先のコネクタが切れている/権限が外れていると、開いても空っぽになる。これは後の「ここで止まった」で詳しく書く。
とりあえずやってみる
セットアップは、設定ファイルを書く系の作業ではなく、Coworkに普通に頼むだけだった。拍子抜けするくらい短い。
- Coworkを開いて、新しいセッションを始める(既存のセッションでも動くが、最初は混乱を避けるため新規がおすすめ)
- つなぎたいコネクタ(Gmail、Slack、Calendarなど)が「接続済み」になっていることを確認する。MCPの一覧画面でコネクタ名の横に緑のチェックが出ていればOK
- 「毎朝チェック用のLive Artifactを作って。Gmail(未読件数)・Slack(メンション)・スケジュールタスク(次の起動予定)を1ページにまとめて。」のように、何を・どのコネクタから・どう並べたいかを1メッセージで伝える
- Claudeが下書きを生成し、サイドバーに「Open Artifact」ボタンが出る。これを押すと別パネルでHTMLページがレンダリングされる
- 1回目のオープン時に、各コネクタへのアクセス許可が確認される。「Approve」を押すと以降は自動取得(次回以降は許可不要)
「何を・どのコネクタから・どう並べたいか」を最初から一文で伝えるのが一番のコツだった。私は最初これを「Gmailの未読を見せて」と短く頼んでしまい、ただの一回限りのリストが返ってきて「あれ、永続化されてない」と慌てた。Coworkにとって「ライブアーティファクトとして作って」というキーワードが入っているかどうかは、要件の重みになる。
実際に打ったプロンプト
私が今朝、最終的に動いた状態にたどり着いたプロンプトはこれだ。コピペして自分の用途に合わせて書き換えて使ってほしい。
毎朝チェック用の Live Artifact を作ってください。【含めるもの】1. Gmail:未読のうち、件名に「請求書 / invoice / 領収書」を含むスレッドを上から5件2. Slack:直近24時間で自分宛のメンションを上から10件(スレッド名・送信者・本文の冒頭60字)3. スケジュールタスク:次に起動予定のタスク名と起動時刻を3件【表示の希望】- 1ページ縦並び、各セクションに見出しをつける- 件数が0件のセクションは「なし」と1行だけ表示- ページ上部に最終取得時刻を「YYYY-MM-DD HH:mm:ss」形式で表示- 並び順の好み(新しい順/古い順)は localStorage に記憶し、次回開いた時に復元【外部ライブラリ】- Grid.js を使ってよい(テーブルの並び替え用)- それ以外のCDNは不要ボタンや派手な装飾は要りません。シンプルなテキストとリストで。
💡 コツ:「ライブアーティファクトとして作って」と明示するのと、要件をブロックごとに区切って書くのがポイント。フリーフォーマットで頼むと「一回限りの整形済みリスト」を返してくることがあって、それは Live Artifact ではない。
うちの環境ではこれで一度で通った。プロンプトが長く感じるかもしれないが、毎朝7分かかっていた作業を一度きりの2〜3分の入力で永久に置き換えられると思えば、たぶん人類で一番割の良いタイピングだ。
ここで止まった
私が3週間損していたのには、それなりの理由がある。実際にやってみて、躓いたポイントを順に書いておく。
- コネクタが繋がっていないと「ただのHTML」になる: 1回目に開いたとき、Slack部分だけ真っ白だった。理由はSlackコネクタが先週外れていたのに気づかず、再接続せずに作ってしまったから。Live Artifacts自体はちゃんと作られているのだが、中身を取りに行くMCPの先が無い、という状態。コネクタの接続状態は作る前にMCP一覧画面で点検しておくと事故が減る。これは私の落ち度で、Coworkは何も悪くない
- 使えるCDNライブラリが3つに限定されている: 公式ヘルプを読み返したら、Live Artifacts内から外部読み込みできるのは Chart.js・Grid.js・Mermaid の3つだけだった。私は最初「D3.jsで凝ったグラフを」と言ってしまって、「使えないよ」とClaudeに止められた(その場で素直に止めてくれて助かった)。CSSやJSの自前コードはインラインで書くぶんには制限なしだが、CDN読み込みはこの3択。過剰な期待をしないほうが、生成速度も安定する
localStorage以外のブラウザストレージは使えない: フィルタや並び順を覚えてほしい場合はlocalStorageを使う、と書いておけば動く。ただしsessionStorage・IndexedDB ・Cookieはサポート外で、書いてもらっても動かない。私は一度「Cookieに保存して」と頼んでしまい、見た目は動くのに次回開くと忘れている、という現象に遭遇した(サンタを信じない子どもみたいで悲しかった)- 「Open Artifact」を押し忘れる: 一番くだらない躓きだが、私は最初、Coworkのチャット欄に出てきた「Open Artifact」ボタンを押さずに、そのページが普通のチャット返答だと思って閉じてしまった。Live Artifactsは専用のサイドパネルでレンダリングされて初めて中のJavaScriptが動く。チャット欄に見えているのは、ただの予告編である
3行でまとめると
Live Artifactsは、「毎日同じ質問をしていた作業」を一回の依頼でページに固定できる機能。コネクタにつないだ最新データを、開きなおすたびに自分で取り直す ー そういう仕組みのHTMLが、Cowork内に残る。永続するから、ブラウザを閉じても明日も明後日も同じ場所から開ける。
「同じ質問を3回した時点で、これライブアーティファクト化できないか?」と疑うクセを、まずつけたい。3週間ぶん損した私からのお願いである。チャット回答が消えていく流れ星なら、Live Artifactsはずっと光っている街灯みたいなもので、毎朝の足元を照らしてくれる方が、どう考えてもありがたい。
関連リンク
- Use live artifacts in Claude Cowork(公式ヘルプセンター)
- Get started with Claude Cowork(公式ヘルプセンター)
- Claude Cowork 製品ページ(Anthropic)




